『薔薇族』は2代目、竜超君へ!
1971年(昭和46年)7月に『薔薇族』創刊号を出してから今年で40年になる。なんとしても今年の夏頃に400号を出して、僕は編集長の座を降りようと思っている。
先日、復刊号を手がけてくれた竜超君が相談事があるというので電話がかかってきた。
渋谷の東急プラザの5階にある「CAFE SHALIMAR」で待ち合せて会った。
何事かと思ったら400号の最終号を出して、その後は竜君が編集長になり続けて出したいという。
今の時代、パソコンを使えずネットも見たこともない人間には、もはや雑誌を続けることはできない。時代が変わってしまったのだから、僕はすでに過去の人間になってしまっている。
『薔薇族』は、2代目編集長として竜超君が続けていくことを僕は喜んで承諾した。良き相棒だった内藤ルネさん、本間真矢(ペンネーム藤田竜君)もすでにこの世にいない。
あの頃、この顔と思い出せば、多くの人たちが僕の仕事を助けてくれた。本当に僕は幸せ者だった。
それと、多くのすばらしい読者が『薔薇族』を支持して応援してくれた。こんな読者をもった雑誌ってそうあるものではない。感謝の気持ちでいっぱいだ。
創刊号の編集後記の「薔薇族だより」に、僕はこんなことを書いている。
「最初、5月頃創刊号を出すということをちょっと書いてしまったら、早く出ないのか、まだ出せないのかと読者から矢の催促。
ところが最初、簡単に考えていたのが原稿を集めているうちに、だんだんいいものを出さなければという気持ちが強くなってきて、あれこれ考えているうちにだいぶ遅れてしまった。
雑誌作りは初めてで、まごまごして立ち往生している僕を見かねて、何人かの友人が助っ人に駆け付けてくれて、やっと日の目を見ることができた。
出来不出来はとにかく、日本で最初にホモ専門誌を出すという仕事をやり遂げて、うれしくてうれしくて仕方がない。
カメラマンの原栄三郎さんも、日本最初ということで千葉の海岸にロケをして力作を撮って下さった。
とにかく『薔薇族』は、みんなで創る雑誌だからみんなの応援なしでは成り立たない。実感のこもった原稿をどしどし送ってほしい。プロの作家に依頼せずに、みんなが発言する雑誌にしたいと思っている。
この雑誌の創刊によって、地方にいて孤立しているホモたちに、少しでも連帯感を持たせて、寂しい思いをなくすことができれば本望だし、今まであまりにも暗かった日本のホモたちが、少しでも明るい方向へ前進するステップになればうれしい」
このとき僕は38歳だった。元気いっぱいで希望に満ちあふれていた。
『薔薇族』が創刊した頃も、いろんなメディアが取り上げてくれて、存在を知らせるのは早かった。
廃刊になった時も、朝日新聞の小泉信一郎記者が、「薔薇族廃刊」のニュースを報道してくれた後のメディアの反応は凄かった。
廃刊のニュースが、こんなに取り上げられたことはなかったのではなかろうか。いい相棒に巡り会えていい仕事を残せて本当に良かった。
2代目の竜超君の『薔薇族』も、ぜひ、応援してほしいものだ。薔薇の季節の5月をもって、僕の〝編集長〟としての名前は消える。本当に長いことご支援をありがとう!!
★『薔薇族』の注文の方法は、郵便局で1000円の定額小為替を購入し、下記までお送りください。〒155-0032 東京都世田谷区代沢3-9-5-202 伊藤文学宛
★下北沢に『薔薇族』を置いてくれる古本店・「ビビビ」があります。〒155-0031 東京都世田谷区北沢1-45-15 スズナリ横丁1F・北沢タウンホールの筋向いです。読書好きにはたまらない古書がたくさん置いてあります。電話03-3467-0085です。
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