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2011年7月 2日 (土)

もうひとつの薔薇の美を

 中井英夫さんの著書『薔薇幻視』(平凡社カラー新書13・¥550)を買い求めたのは、1975年のことだから、『薔薇族』を創刊して数年のちのことだ。
 ぼくは未だにこの本を完読したことはないが、その中のカラー写真の1頁だけに目がとまった。
 その説明に「切手からメダルから薔薇に関するものなら何でも集めた小ていな薔薇博物館は、パリ近郊のライレローズにある。奥に創立者の肖像が、これも薔薇に埋もれて描かれている。」と。
 よし、ぼくも薔薇のコレクションをあつめた美術館を造ろうと心に決めた。

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 中井英夫さんは、1922年東京生まれ、東京大学文学部中退。作家。第2回泉鏡花賞受賞。主な著書に『虚無への供物』(講談社)、短篇集『幻想博物館』(平凡社)など薔薇を主題にした作品も多い。
 ところが中井さんの作品は読んだことがない。羽木というわが家の近くに住んでいたこともあり、よく訪ねてこられた。ぼくの父も短歌を作っており、中井さんは『短歌研究』という短歌誌の編集長もされており、寺山修司君、春日井健君なども世に出した方だ。(ある人が中井さんは角川の『短歌』の編集長と紹介していたが、これは間違いだ。)

 この中井さんはゲイであり、『薔薇族』が創刊される20数年も前に、会員制の雑誌『アドニス』の編集長を途中から受け継いで発行していたことを知る人は少ない。
 三島由紀夫さん、塚本邦雄さんなども『アドニス』にはペンネームで作品を載せている。
 『薔薇幻視』のカバーの裏に、中井さん意味深なことを書かれているが、ぼくにはその深意は読みとれないが、『薔薇族』の読者への呼びかけではないかと思う。

「地上の薔薇はいかにも美しいが、世の薔薇、薔薇作り、薔薇愛好家が、もっぱらその外側だけ心を奪われて、内部のもうひとつの薔薇に美を探ろうとしないのが、私には不満であった。
かつて桜の下には屍体が埋まっていたように、薔薇の内部にはなおいっそう神秘な何者かが、ひそんでいはしないか。『薔薇幻視』は、いわば新しい旅への誘いである。」

「薔薇の神秘は何者か」それを知ることができる人は、ゲイの人ではなかろうか。

 渋谷の東急本店「Bunkamura・ザ・ミュージアム」で「薔薇の画家・ルドゥーテ展」を見てきたが、確か7月2日で終了されてしまう。
 ルドゥーテの作品のコレクター、またルドゥーテの作品を絶賛されている、美輪明宏さん、仮屋崎省吾さんなど、薔薇の本当の意味での美しさを理解されている人は、すべてといっていいほどゲイの人だということは、本当にうれしいし、誇りに思う。
 ぼくはルドゥーテに負けないほど、細密な絵を描く人をたくさん知っていた。ところが最近は植物図鑑とか、動物図鑑などの本を出すところが少なくなってしまって、これらの画家たちの仕事場がなくなってしまった。
昔はこれらの画家たちを生活に困らないように援助していたお金持ちがいたからこそ、彼らは仕事に熱中していい仕事が残せたのだ。
 画廊のご主人でも才能のある若い画家の面倒を見続けて大成させたという話を聞いたことがあるが、今でもそういう方がいるのだろうか。
 今はデパートの画廊でも、どこの画廊でも、絵が売れないという話ばかりを聞く。昔のお金持ちは、絵画や美術品をコレクションした人が多かったが、今のIT産業でもうけたお金持ちは、絵画や美術品には興味がないのでは。
立ちどまって、庭先に咲いている薔薇の花を眺めるだけの心の余裕ぐらいは持ってほしいものだ。


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