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2011年9月19日 (月)

「エクス・リブリス」なんていうカフエがあるなんて!

 「EX・LIBRIS」(蔵書票・または書票)とも呼ぶ、聞きなれない言葉を知っている人は少ないだろう。
 それは「誰それの蔵書」を意味するラテン語で、英語の「BOOKPLATE」の訳語だ。
 日本では中国からの影響で、書物を大切にしている人は、書物の見返しに印鑑を押して自分の所有物であることを明確にした。
 ぼくなら「伊藤蔵書」という印鑑を作ってもらって見返しに押す。ところが欧米にはサインはするけれど、印鑑というものはないから、どうしても「エクス・リブリス」が必要になってくる。
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 ヨーロッパでは印刷術が進歩して、複数の書物が出現してきたために、持主を明らかにする必要にせまられてきて、最初は貴族たちがその家の紋章を印刷して、書物に貼っていたが、19世紀の後半になると、版画家に依頼して、自分の好みの絵を印刷してもらって、書物に貼るようになってきた。
 欧米では銅版画が多く、日本ではエミール・オルリックという人が、日本の浮世絵を学ぶために来日して、1900年に『明星』という雑誌に、初めて西洋の蔵書票を紹介した。
 それに興味を持った竹久夢二などが、大正時代に入って木版画で作られるようになった。

 ぼくは1991年の正月のことだが、友人の叙情画家でもあり、アンティークのお人形のコレクターでもある、内藤ルネさんが宇都宮の東武デパートで「内藤ルネ・ロマンチック人形コレクション展」を開いたことがあった。
 お正月の催事場では、古書市、骨董市も開かれていたが、こじんまりと地元のお医者さんの関根蒸治さんが、ご自分のコレクションである蔵書票を展示していたのを見たとき、なんとも言えない、その小さな紙片にショックを受けてしまった。たまたま会場に来られた関根さんから、蔵書票の由来を聞いて興味を持つようになってしまった。

 それから古いエクス・リブリスのコレクションを始めて、新潟の弥彦村に「ロマンの泉美術館」を平成5年にオープンさせてしまった。それは世界で初の蔵書票を展示する美術館で、大きな虫メガネをたくさん用意しておいて、お客さんに見てもらった。
 ところが本業の雑誌が売れなくなって、閉館せざるを得なくなり、今は廃墟になってしまっている。

 なんとわが家の近くに、小さなカフエ「EX LIBRIS」という名のお店ができた。日本に「EX LIBRIS」なんて名のカフエは、一軒もないだろう。
 若いオーナーは、コーヒー豆にこだわって軽井沢のお店から取り寄せているそうだ。
 世田谷区代沢5―8―16 13時から22時まで、金曜日定休だ。茶沢通りに面していて、下北沢の南口から歩いて10分ほどのところにある。このお店の大家さんが、ぼくの息子の同級生で、小学校の教頭先生だそうだ。

 お母さんとはよく街で出会って立ち話をするが、お父さんのご主人とは会ったことがなかった。今、お店で「エクス・リブリス」とは、という紙片をお客さんにくれるが、伊藤文學と書いてあるので、偶然、コーヒーをのんでいたら、ご主人が入ってきて、初めて対面したのだがぼくと同じ年で、代沢小学校の一年先輩だった。

 エクス・リブリスって、自分の本に貼ったもので他人に見せるものではないので、男の好きな男の人は、男性のヌードを描いたものを本に貼って楽しんでいたのだろう。それが本からはがされて、100年以上も経って、僕の手許にあるなんて、本人もあの世でびっくりしているに違いない。
 ぜひ、おいしいコーヒーをのみに訪ねてもらいたいお店だ。


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