これからどのような生き方を!
人間落ち目になると、人が寄りつかなくなるというが、ありがたいことに、ぼくは年賀状もたくさん頂き、カフエ「邪宗門」での「伊藤文学と語る会」にも、毎回10数名の若者が出席してくれている。
「無法松の一生」でグランプリをとった、東宝の名監督、稲垣浩さんのお弟子さんの高瀬昌宏さん(残念ながらネットで調べられないので映画監督時代の作品は不明)
世田谷文学館がオープンした頃、友の会が結成され、お互いに役員になったので知り合った方だ。
高瀬さんは映画の監督から、テレビの時代になって、時代劇の監督に転身され、「鬼平犯科帳」などの作品を手がけている。
高瀬さんの作品を時代劇専門チャンネルで見てますよと、はがきを出したら、すぐに返ってきた。
「『鬼平』はプロデューサーの市川さんが、台本作りに熱を入れ、原作を大切にしたことでツブの揃った作品になったので、やはり優れたものは、台本作りにあると思います。」
もちろん監督の演出力もあってのことだが。高瀬さん、私も80歳になりましたと、年賀状にそえ書きがしてあった。
紅白歌合戦に60歳を過ぎてから、苦労の甲斐があって、2年連続で出演された秋元順子さん。無名の頃から応援してきたが、わざと年賀状を出さなかった。
今年、初めて年賀状を出して、「うれしい」と書いたら、年賀状が送られてきて、「あの頃があって今がある。美術館でのショウは忘れられません」と。
美術館でのショウと言えば、俳優の清水紘治さんも、「恋の詩」を朗読してもらうために、「ロマンの泉美術館」に招いたことがあった。
芸歴は長く、子役の時代からで、時代劇にも若き日の清水さんが登場している。渋い中年の俳優さんが少ないから、これからもますます活躍されることだろう。
俳句も作られていて、年賀状に「あたらしきもの生まれこい初明り」と。新しい年、明るい光がさしてほしいものだ。
藤居正彦さん、細密画を描く、すばらしい技術を持っている方で、『薔薇族』の表紙絵を描いてもらっていた。
下北沢北口の風月堂(今は靴屋になっている)で、月に1回、出会うことを楽しみにしていたが。
年賀状の野球少女を描いた作品はすばらしい。グローブの皮の光沢が本物のようだ。「近くのグランドで見かける少年野球チームにかわいらしい女子選手を見つけ描かせてもらいました。この子たちがいつまでもハッピーでありますように。」
ところが藤居さんがハッピーでないのは悲しい。こうした細密画を描く仕事がまったくないとは、なんという世の中だ。
四谷シモンさん。毎年、新宿の紀伊國屋書店のギャラリーで、人形展を開いている。2月には細江英公さん撮影の若い頃の写真集『シモン私風景』が刊行される予定だそうだ。
今から45年前に、ぼくの先妻の舞踏家・伊藤ミカ(1月11日で没後42年)が、フランスの地下文学の最高傑作と言われた、ポーリーヌ・レアージュ作、渋澤龍彦さん訳の『オー嬢の物語』を1967年、10月に舞踏化した。
ラストシーンで、オー嬢が舞台から降りて暗い客席にくさりでつながれて引き出される。全身、白い羽毛でおおわれ、頭にふくろうの面をかぶって。そのふくろうの面を製作してくれたのが、シモンさんだった。シモンさんとは長いお付き合いだ。
駒大時代の恩師、森本治吉先生の長男の嫁の槇弥生子さん、ぼくと学生時代からの短歌のお仲間だ。槇さんの年賀状にそえがきされていたひとこと。
「どのような生き方をなさるのか楽しみです」のひとことは胸にぐさっとつきささる。80歳を過ぎてどう生きるか、迷っていたからだ。自然にまかせるしかないのでは……。
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第4回「伊藤文学と語る会」
2月4日(土)午後2時~4時(予定) ※途中参加・中途退出も自由です。
会費なし(コーヒー代の実費のみ)
会場:下北沢 カフエ「邪宗門」
住所:東京都世田谷区代田1丁目31-1 TEL03-3410-7858
※テーマなしで自由に語り合います。どなた様もお気軽にお越しください。
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