舞台でライトを浴びたらやめられない!
寺山修司君が1983年5月4日に亡くなって、29年にもなるのに寺山人気は衰えず「ザ・スズナリ」には、多くの観客が押し寄せていた。
下北沢の「ザ・スズナリ」で、寺山修司原作「田園に死す」が、2月9日から19日まで上演され、演劇仲間の桜井玲奈さんが出演するので、ぜひ、観に行ってほしいと、福岡市に住む水澤さち子さんから手紙が届いた。
桜井さんに電話して、2月13日の予約をお願いした。水澤さち子さんは、ぼくのブログを見てくれていて知り合った方だ。
「田園に死す」は寺山君が映画として製作したもので、それを天野天街という方が、脚色・構成・演出されたもので、再演ということだ。
狭い舞台に出演者が36人もいるのだから、めまぐるしいぐらいに、次から次へと役者が登場するので、どの人が桜井玲奈さんなのかは最後まで分からず仕舞いだった。
休憩なしの2時間は、見ている方もつらい。同じような場面がくり返し出てくるので、もう少し整理して、1時間30分ぐらいで終わりにしてもらいたかった。
演劇評などぼくには書けないが、歌あり、踊りありで、テンポもよく、稽古も積んでいるので、あきさせることはなかった。
狭い階段をゆっくりと降りて外に出たら、「伊藤さんですか?」と声をかけてきたのは、背が高く、ちょっとハーフぽい顔立ちの美しい若い女性だった。
ぼくのブログを見てくれているそうで、新潟の美術館にも、ルイ・イカールの絵が好きで見に行ったこともあるという。
ところがぼくのとなりに座った、ぼくより少し若い男性に、ぼくから声をかけて、初対面なのに親しくなっていた。まだ女性の名前も聞いていないのにその女性を誘って食事でもと思っていた。
元大学教授だという男性はおしゃべりで、女性に話しかけてついてきてしまったので、仕方なく「ザック」というカフエに入って、3人でお茶をのむはめに。
すっかり話題をその男にとられてしまってがっくり。
桜井玲奈さんとは、翌日、電話をかけて下北沢の北口のカフエ「シアノアール」で、楽屋入りする前のひとときをおしゃべりすることができた。
福岡からオーディションを受けて合格し、ウィクリーマンションに泊まって出演しているという演劇に意欲的な女性だった。
演劇は麻薬みたいなもので、舞台でライトを浴びたら、もうやめられない。劇場でもらった束になった、劇団の公演のチラシにはびっくりしてしまった。
大きな劇団だと、いつまで経っても舞台にあがらせてもらえない。小さな劇団だと、多少の演技力があれば、舞台には立てる。それで小さな劇団が次々と創立し、解散し、また作られる。その結果がこのチラシの束だ。
「田園に死す」は、文化庁から補助金が出ているようだけど、それでも劇団員に給料など払えない。チケットを売って、何割かがバックされるのだろう。
劇団員は食べられないが、脚光を浴びる日を夢みて、アルバイトをしながら食いつないでいる。
ぼくの先妻のミカが舞踏に打ち込んでいた40数年も前と、今とその状況に変わりはない。前衛舞踏家たちは、キャバレーなどで金粉ショウをやって、公演の費用にあてていた。
ミカはキャバレーなどで踊っていると、踊りの気品さを失うといって、教師での収入を舞台につぎこんでいた。
文化庁も予算をとって、すべての芸術の振興に補助をして、生活が少しでも成り立つようにしてもらいたいものだ。
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