僕の仕事の発想は、すべてマスターべーションだ!
ぼくの今までに残した仕事の発想の元はと言えば、なんと「マスターべーション」なのだ。今の男の子たちは食べ物もいいし、発育もいいからマスターベーションを覚えるのも早くなっている。
ところがぼくが育った時代は、戦時中から戦後にかけての食糧難の頃だ。昭和23年に駒沢大学に入学した頃、片思いをしている女性がいた。
マスターベーションを覚えたのは、その頃のことで、日夜もんもんとして過ごしていた。その時代、マスターベーションは、からだによくないと言われていたので、やめようと思うもののやめられなかった。
ある雑誌に「マスターベーションをしても害にはならない」という医者が書いた記事を読んだとき、気持ちが明るくなったのを覚えている。
そのうち恋人もでき、結婚も早かったので、自然とマスターベーションのことなど、忘れてしまっていた。
親父の手伝いをして出版の仕事に励んでいた頃、背広からネクタイ、靴まで緑色というへんな男が、風呂敷包みをかかえて、原稿を持ちこんできた。
昭和40年(1965年)のことだが、その原稿はマスターベーションの正しいやりかたを書いたものだった。あちこちの出版社に持ち込んだ末に我が社に訪ねてきたのだろう。
その原稿に目を通したとき、ぱあっとひらめくものがあった。それは学生時代に悩んでいたマスターベーションのことだ。これを本にすれば、ぼくと同じように気持ちが明るくなるに違いない。そう思って早速、本にした。
秋山正美著の『ひとりぼっちの性生活=孤独に生きる日々のために』。今が考えてみてもわれながら、いいタイトルだ。買いやすいように新書版のシャレた本にした。
週刊誌や、テレビなどが、とりあげてくれてヒットし、反響も大きかった。ぼくが考えていたように、気持ちが明るくなったという手紙が多かったが、その中に男性が男性のことを想いながら、マスターベーションしているという手紙が、その中にまじっていた。それをぼくは見逃さなかった。
続いて出版したのが『レスビアンテクニック=女と女の性生活』と『ホモテクニック=男と男の性生活』だ。
これらの本は、わが第二書房にとって、革命的な本になった。そのあと続いて、男の同性愛の単行本を次々と刊行し、それが日本初の同性愛誌『薔薇族』につながっていった。
そんなときにある人が、こんなもの売れませんかと言って持ちこんできたのが、ぬるぬるしている精液みたいなオイルだ。
早速、その夜、風呂に入ったときに、そのオイルを使って、しごいてみた。今までは石けんをつけたり、つばをつけたりしていたが、ひりひりしてしまう。なんとこのオイルをたっぷりつけて、しごいた快感は、まさに天国行きだ。
このとき、また、ぱあっとひらめくものがあった。これは売れると確信した。そしてケースや、容器のデザインを嵐万作さんにお願いした。
嵐万作さん、すでにこの世にいないが、小説も書くし、デザインもできるし、油絵も描くという万能の方だった。
愛の潤滑液「ラブオイル」と命名して売り出した。「ラブオイル」これもいいタイトルで、デザインは嵐万作さんが残してくれた傑作だ。
『薔薇族』はネットに負けて廃刊に追いこまれてしまったが、「ラブオイル」は消耗品なので、品質もよく、ホテル、旅館、ポルノショップで今でも売り続けてくれているヒット商品だ。
一度ためしてみてはいかが。天国行きは間違いないから……。
(ご注文は80円切手・12枚を封筒に入れ、〒155-0032 世田谷区代沢3-5-202 フェスタ―エンタープライズにご注文下さい。 (送料含む)10本入り。1箱の場合は、¥8,000小為替で……)
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第6回「伊藤文学と語る会」
4月21日(土)午後2時~4時(予定) ※途中参加・中途退出も自由です。
会費なし(コーヒー代の実費のみ)
会場:下北沢 カフエ「邪宗門」
住所:東京都世田谷区代田1丁目31-1 TEL03-3410-7858
※テーマなしで自由に語り合います。ぜひ、お出かけを!
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