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2012年7月 7日 (土)

日本に一軒しかない「エクスリブリス」という名のカフェ

 「下北沢」の南口商店街を通り抜けると、茶沢通りに出る。茶沢通りに面して、小さなカフエ「EX LIBRIS」(エクスリブリス)がある。
「EX LIBRIS」の言葉の意味を知っている人は、下北沢の通りを歩いている若者の中にはいないだろう。

 樋田直人(ひだ・なおと)さん。1926年北海道生まれ。北海道大学卒業。東京大学より工学博士授与。建築音響学専攻。サンケイホールの音響設計、南極建築の設計等で知られる建築家。
 理数系であるのに、日本ペンクラブ会員でエッセイストでもある。篆刻の研究家としても知られる方で、世田谷の砧に住んでおられる。
 ぼくは何度か、NHKの研究所の裏手にあるお宅を訪ねたことがある。
 86歳になられるが、年賀状をいただいているので、お元気だと思う。1986年に初刷を出した樋田さんの著書『蔵書票の美』(小学館刊・定価¥3400)文庫本になっていると思う。蔵書票(エクスリブリス)を知る上では、最も優れた参考書だ。

 カフエ「EX LIBRIS」の店名は、恐らく日本でただ一軒しかないだろう。そこのマスターは、まだ若いが、そんな店名をつけるぐらいの人だから、コーヒーの豆選びには大変な神経を使っている。
 6月に入って、10日も店を休んで、アフリカのケニア、ルワンダのコーヒー園に見学に行ってきたそうだ。今回が初めてでなく、世界中のコーヒーの産地に何度も足を運んでいるそうだから驚きだ。
 安いコーヒーをのんでいる人は、コーヒーのうまい、まずいを気にしないが、世の中にはコーヒーにこだわりを持っている人がいて、彼が仕入れているコーヒー豆を買い求めにくる人が多い。通信販売でも求めている人がいるようだ。コーヒー豆の仕入れには、絶対の自信を持っているからだろう。

 話を蔵書票に戻すが、この本が出版された時代は、まだまだ蔵書票に興味を持つ人は多く、日本書票協会の会員も千人を越していた。
 文化服装学院の出版局から出版されていた季刊『銀花』の編集人、今井田勲さんが蔵書票の理解者で、よく特集を組んでおられた。
 他の雑誌でも、蔵書票を取りあげていたが、そのような先駆者は、ほとんど先立たれ、啓蒙する人がいなくなってしまった。
 西洋骨董や、和物の骨董の世界でも、世の中、落ちこむばかりで、大衆に広く、魅力的な世界を知らせるすべを失ってしまっている。
 ぼくも世界初の蔵書票を展示する美術館、「ロマンの泉美術館」を女房の故郷、新潟県弥彦村に、平成五年にオープンさせ、蔵書票の魅力を世に知らしめたが、残念ながら閉館に追いこまれている。

 エクスリブリスという言葉は、ラテン語が原語で、西洋共通の名称で、その意味は「誰それの蔵書のうちの書物」ということだ。
 東洋では書物には和紙が使われているので軟らかい本が多く、印鑑(蔵書印)を朱肉で押して、その本の所有を明らかにしている。
 西洋では印鑑を使わないし、本も洋紙なので、その見返しには貴族の紋章などを刷ったものを貼ることが多かった。
 それが時代が下ってきて、西洋では銅版画、日本では木版画の作家が多く作るようになってきた。

 絵というものは大きいから優れているというものではない。
 蔵書票は「紙の宝石」と呼ばれているように、小さな紙片の中に作家のすべてが表現されている。とにかく本物を見なければ、そのすばらしさは分かるまい。

(コフィア エクスリブリス・世田谷区代沢5-8-16 13:00~22:00 金曜定休)

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この本を読んで、蔵書票の美を知ろう!

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コーヒーを愛する人が遠くからもやってくるお店。

 

第9回「伊藤文学と語る会」

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7月14日(土)午後2時~4時(予定) ※途中参加・中途退出自由。
会費なし(コーヒー代の実費のみ)
会場:下北沢 カフエ「邪宗門」
住所:東京都世田谷区代田1丁目31-1 TEL03-3410-7858

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初めての方、女性の方、お一人様でも大歓迎!
お気軽なご参加を、お待ちしております。

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コメント

こんにちは。
コメントが遅くなってしまい申し訳ありません。
7月7日にとある画廊でお話させていただいたボランティアスタッフの者です。
蔵書票は以前当画廊でも展示しましたが、どの作品も繊細な美しさを持っておりまさに「紙の宝石」という名前に相応しいものばかりでした。
頂いた歌集に貼ってあったものも濃密に書き込まれて(彫り込まれて)いてしばらく眺めていても飽きません。
このカフェにもぜひ行ってみたく思います。

これからもブログを拝見させていただきますのでよろしくお願い致します。
いくつかバックナンバーも読ませていただきましたが、興味深いトピックばかりで知識欲が掻き立てられます。
またコメントさせていただきますね。
失礼します。

投稿: 緑虫 | 2012年7月 9日 (月) 00時16分

何事もこだわる人は素晴らしいオーラがありますよね。

投稿: 吉野@自然療法 | 2012年7月 8日 (日) 01時13分

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