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2012年8月13日 (月)

ホモでなけりゃ、芸術家じゃねえ!

 美輪明宏さんが41歳、ぼくが44歳のころ、新宿厚生年金会館(今はない)の並びのQフラットビルの2階に、クラブ「巴里」をオープンさせ、ぼくも続いて「伊藤文学の談話室・祭」を開店した。

 ちょうど、そのころ、「新しい芸能研究所」が「季刊・芸能東西・蝉時雨号」を刊行した。編集・発行人は、小沢昭一さんとある。36年も前のことだ。「性を超える・特集・ホモでなけりゃ芸術家じゃねえ!!」
 大きな文字で表紙に大書されている。巻頭に小沢昭一さんの「口上」があり、それにはぼくがいつも言っている「日本の芸術、文化はゲイの人によって支えられているのだから、誇りをもって生きよう!」と、同じことが述べられている。そしていつサインしてもらったのか、まったく覚えていないが、小沢さんのサインがある。

 ピーター、神津善行、尾崎宏次、松田修、戸坂康二、南博さんが執筆し、本橋成一さんというカメラマンが、ゲイホテルに潜入して撮った「おとこの館」には、修学旅行の学生たちが泊まるようなホテルのふとんを敷きつめた大部屋、ゲイホテルの扉を入ろうとする男たちの後ろ姿が映り、脱ぎ捨てられたゆかたの山は、コトの終わった男たちの物語をなまなましく活写している。

 この特集のメインは、松永伍一さんと美輪明宏さんの対談だ。「美とエロスと死」というタイトルで、なんと小さな文字でびっしりと31頁もついやしている。恐らく2、3時間はしゃべったことだろう。
 作家・評論家の松永伍一さん(1930~2008)という方のお名前は知っていた。博学な人のようだ。とっても話の内容を紹介しきれないが、古書店で探して読んでもらいたい。

 女装をして化粧をしている美輪さんが意外なことをしゃべっている。 
「ぼくはね、どっちかっていうと、ホントはすごい無精者でね。清潔好きなくせにね、まず清潔好きだからこそなんでしょうけどね、自分の皮膚の上にね、違う物質をぬるっていうのがまず嫌いで。」
「イヤリング、指輪、時計なんか、ベルトもふだんはしませんし、靴下はくのもイヤなんですよ。でも、奇妙なことに、そういういやなものをつけた時にね、美しいって言われるわけですよ。かつらをつけて、つけまつげをし、紅をほどこし。それはぼくじゃないんですよ。」

 まさに美輪さんの言ってることは意外だ。女っぽい美輪さんを性の面でも、だれしも受身だと思うだろうけど、これはまったく違うということは、ぼくには理解できる。
「ぼくは受身っていうのは、イヤなんですよ。自分自身が万事能動的だから。ところでごらんの通り、こんな広い家の中でも、ひとりでぽつんといるのが大好きだし。どっちかというとひとりでいたほうがいいですよ。怖くもないし、何でもないし。」
 人間、見ためでは、その人を判断できないということだ。

「芭蕉と薔薇族」という項があって、面白い話が話題になっている。美輪さんのいうのには、通信欄を見ていると、二人で旅行したいという呼びかけが多い。松永さんは、それは現実の社会の中で、自分たちの行為が異端であり、悪と見られているから、まわりのそういう視線から、少しでも抜け出していきたいという、離脱願望も大きいと思いますがね。「ぼくはいつ死んだって、へいちゃらだって、もう生きたいように生きて来たんだから、みたいなところがありますね。」 

 ぼくもやりたいことをやって生きてきたから、美輪さん同様に死ぬことを恐ろしいと思ったことはない。もっと、もっと紹介したい話がいっぱいあるけど、とにかくお二人の話は、内容が濃くて面白い。再録できないものだろうか。

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力がない小沢さんのサイン

第10回「伊藤文学と語る会」

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8月18日(土)午後2時~4時(予定) ※途中参加・中途退出自由。
会費なし(コーヒー代の実費のみ)
会場:下北沢 カフエ「邪宗門」
住所:東京都世田谷区代田1丁目31-1 TEL03-3410-7858

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初めての方、女性の方、ご年配の方、お一人様、大歓迎!
お気軽なご参加を、お待ちしております。

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コメント

こんにちは。 美輪さんの貴重なお話しが聞けて嬉しいです。私はずっと美輪さんのコンサートに通って居た、1ファンです。東北震災の諸事情から今は、年に一度行けるか行けないかの状況ですが、美輪さんの歌もお話しも楽しくて素晴らしくて随分と、今までも励まされて来ました。無学で未熟者の私が、色々な事柄を教えて戴いたのも美輪さんの本やお話しからです。現在も辛い時がありますが、どんな時でもロマンを忘れないで居れるのは、この方のお陰かも知れません。同じ時代に生まれ合わせ、美輪さんという方を知る事ができ、本当に天に感謝をしております。

投稿: 花 | 2012年8月22日 (水) 08時52分

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