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2012年10月15日 (月)

三島由紀夫は「美しい日本の男」になろうと!

  亡くなった内藤ルネさんが、何度か電話をかけてきて、『三島由紀夫――剣と寒紅』(文藝春秋刊)の著者、福島次郎さんの若き日の写真を残された、お母さんに頼んで手に入れてほしいと言われた。
 三島由紀夫さんが初対面で気に入った福島さん、背が高く、いい男だったに違いない。その話は果たせないままに、ルネさんんも亡くなってしまった。
 藤田竜さんの文章の続きを紹介しよう。ベッドを共にしても福島さんは、性的になんの反応もしなかったのに、なぜ?

「それならなぜ離れなかったのか。性交をのぞけば著者は憧れのマスコミの鬼才、三島さんと共にいて、話を聞けるのは願ってもない喜びであったし、共に外出した先での豪奢な食事も嬉しく、ことにあたたかい家庭の味を知らないで育った身に、三島さんの母親に接すると心が満たされる思いだったからだ。上京して貧しく暮らしていた大学生には、僥倖があふれていたのだった。
 僥倖(思いがけない幸福のこと)は、数ヶ月間続いた。
 伊豆今井浜の旅館に避暑旅行に行った七日目の夜、三島さんは著者に初めてバックをしようとするが、うまくいかない。
 著者はくすぐったさが呼び水になり、肩をゆすって笑いだす。とまらない。この場面は凄い。『こうまでして三島さんについて行こうとする自分の哀れさ、滑稽さも含め』何もかもが突然おかしくなったのだ。
 そして破局となる。予定を切りあげて翌日帰郷するが、二人は無言を通す。そして十年以上会わないことになるのだった。
 ここまでが前半。後半部の二人の間の溝が埋まって著者が再会した三島さんは(報道で知っているとおり)ボディビルで別人になっていた。
 肉体だけでなく精神的にも変化しており、ことにナルシズムを強烈に発揮するのには、著者、福島氏は閉口してしまう。筋肉が自慢でたまらない。ことあるごとに裸を見せたがる。著者は「見せびらかしもいいかげんにしろ」と思う。(中略)
 この筋肉が三島さんを救い、そしてついには三島さんを滅ぼすことになるのだ。
『ただ、今ふりかえると、続編を含めての「禁色」を最後に、三島さんは、男色というテーマを自作から一切消してしまった。何となく男色の匂いがある。――と思ってみるのは、読む側の先入観であって、三島さん当人は、あたかも犯罪者が指紋や、血痕を丁寧に消し取るほどの細心さで、駆除し去っている。
 普段の生活の中でも、万一、男色を思わせる発言や行動があった場合は、極端に戯画的で、自分の方からわざと口にして、カリカチュアライズするような――それは自分はその道ではないという逆証明の意図であって、人心への巧妙な計算がゆきとどいている。』
 三島さんは著者への私信に、こういう意味のことを書く。
「文学的テーマとしての男色よりも、そのもう一つ奥にある、日本的心性のふしぎさ、男におけるふしぎにはかないもの、そういうものへの日本の男全部が抱く憧れ……それが興味の焦点なのです。」と――。

 三島さんが剣道を始めるのはそこにつながるからだろう。
 三島さんは「美しい日本の男」になろうとして、右翼思想に傾いてゆく。右翼的発想の小説も書きだす。ことに右翼青年のクーデターに興味をいつからか持っていた。」
 藤田竜君の文章は、まだまだ続き、これからが三島さんと若き日にベッドを共にしたときの話など佳境に入っていく。(つづく)

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第12回「伊藤文学と語る会」

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10月20日(土)午後2時~4時(予定) ※途中参加・中途退出自由。
会費なし(コーヒー代の実費のみ)
会場:下北沢 カフエ「邪宗門」
住所:東京都世田谷区代田1丁目31-1 TEL03-3410-7858

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初めての方、女性の方、ご年配の方、お一人様、大歓迎!
お気軽なご参加を、お待ちしております。

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