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2012年10月13日 (土)

果てしない旅が続くゲイの人たち

「伊藤さんは長い間、『薔薇族』を出し続けてきて、多くのゲイの人と出会ったと思うから、ブログにもっと過激な話を書いてほしい。」と言われることがある。
 そんなときにいつも思い出すことがある。ひまわり社の社長であり、雑誌『ひまわり』の編集長でもあった、中原淳一さんのことだ。

 中原さんの息子さんが書かれた『父 中原淳一』という中央公論社から出版された本、内容は忘れてしまったが、ゲイである父は夫婦の愛がなく、誕生した息子が、父に対する複雑な思いで綴ったものだ。
 ぼくが知り合ったゲイの有名人、みなさん女性と結婚し、子供さんもいる。そんな人たちのことをブログに書くことは、ネットって誰が読んでいるか分からないからできない。
 子供たちも薄々は、父親がゲイだったということを知っていたのかもしれないが、ぼくがそんなことを書いたのを読んだら、嫌な気持ちになるだろう。
『薔薇族』は382号出したけれど、ただの一度も知り合ったゲイの人を誌上でバラしたりはしなかった。

 しかし、福島次郎さんの『三島由紀夫――剣と寒紅』(文藝春秋社刊)こんなに赤裸々に三島さんとのセックスを描いてもいいものかと思うくらいだ。
 残された子供さんたちが、三島さんの福島さんにあてた書状を本の中に載せたことに対して、書状にも著作権があると訴えて、勝訴したので発売停止になってしまった。
 子供さんたちが、どんな思いでこの本を読んだのだろうか。その心中を思うと、悲しくさえなる。
 三島さんの奥さんが、三島さんのゲイであるということを隠しとおしたということも理解できる。奥さんが生きておられたら、こんな本は出せなかった。
 ゲイの人たちも、女性と結婚しなければならない時代だったので、三島さんも女性と結婚したくなかったのにしてしまった。
 もう、このような悲劇は、時代が変わってきたのでこれからは起こらないだろう。文芸評論家たちも三島さんがゲイだと知っていても、偉大なる作家、三島由紀夫を傷つけてはいけないと書かなかった。その心の奥底には、ゲイを異常視する気持ちもあったのでは。

 福島さんの『三島由紀夫――剣と寒紅』をしばらくぶりに読んでいるが、藤田竜君の言うように、こんなに面白い本はない。
 作家って、ベッドシーンをくわしくよく書けるなと思うくらい描いている。ぼくも先妻の舞踊家・ミカとどんなセックスをしていたのかを思い出そうとしても、50年も前のことでまったく頭に浮かばず、『裸の女房』には、ミカとのセックス描写はない。

 ゲイの人って、自分のシュミでない男と寝てもまったく反応しないようだ。女好きの男は相手の女性がシュミでなくったって、セックスすれば燃えてしまうという、いい加減なところがあるが、ゲイの人ははっきりしている。
 福島さんは三島さんと寝ても、傍らに一人の人間が寝ているという感じはしなかった。人間の「裸線」が寝ているという感じだと、冷たく言いきっているが、それなら福島さんは、どんな男が好きだったのかということは書いていないから分からない。
 三島さんは初めて福島さんと出会ったとき、外見から見たときには、シュミだと思ったのだろう。
 三島さんは「楯の会」で、自分の好みの男を集めたから、その中で理想の男を見出したに違いない。福島次郎さんはシュミの男と出会えたのだろうか。

 ゲイの人たちは、理想の男を追い求めてさまよい歩いている。果てしない旅のようだ。

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第12回「伊藤文学と語る会」

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10月20日(土)午後2時~4時(予定) ※途中参加・中途退出自由。
会費なし(コーヒー代の実費のみ)
会場:下北沢 カフエ「邪宗門」
住所:東京都世田谷区代田1丁目31-1 TEL03-3410-7858

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初めての方、女性の方、ご年配の方、お一人様、大歓迎!
お気軽なご参加を、お待ちしております。

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