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2012年10月20日 (土)

肉体を改造すると、こんなにも変わるのか!

 藤田竜君の福島次郎著『三島由紀夫――剣と寒紅』(文藝春秋社刊)を読んでの「三島由紀夫はなぜ裸体を見せ続けたのか」は続く。

「昭和45年11月の私設軍隊、楯の会の若者をひきつれて(火のないところへ火をつけて)自衛隊の変となる。
 望みどおり「忠のため」スタイルができた舞台で、三島さん究極の快楽、「みんなに見られる中での切腹」、介錯人により「わが首を切り落とされる」案件をみごとに、計算どおりに果たす。

 あの日、来客中であった僕のところへ友人が、すぐテレビを見ろと電話してきた。客のいる前でつけると、オリジナルの軍服を着て鉢巻きをした三島さんが自衛隊員に、二階の西洋風バルコニーから、右翼的決起をうながして叫んでいた。
 それにしてもテレビ生中継とは手早い。みんなに見られるため、周到なそれとない手配を事前にしていたのだろう。

 この日から、二、三日、僕は食事がとれないくらいのショックを受けた。その全世界的事件勃発の報を受けても、福島氏はテレビにかじりついたりしない。椅子にいつまでも座っている。頭上の暗い雲がはらわれる思いだったというのだが、どんな思いを長いこと三島さんに抱いていたのだろう。

 超自慢のヌード写真集『薔薇刑』を見て、文芸評論家の奥野建男氏は「どうして男性の肉体の美意識について、三島とぼくはこんなにも違うのだろうと、三島由紀夫の文学を敬愛しているだけにかなしくも、さびしくもあった。そして滑稽でさえもあった」と感想を記している。
 福島氏も同感という。

『鍛えぬかれた男性の裸身は、勿論、美しいと思う。ただ、三島さんの場合は、なぜか違うのである。見たくない――それが正直な気持ちだった。
 なぜかという、その理由はよくわからないのだが、――おそらく三島さんの自分をみてほしい、ほめてほしいという気持ちが、水に浮く油のように、ぎんぎんとにじみ出ているからではないか。
 一般の男性モデルにしても、自分の筋肉美を見てもらいたい意識はあるのだろうが、三島さんの場合、その奥にある本心は、自分に欲情してもらいたいという願望、性の生にえとして、祭壇に立たされた、りりしい男性という思い入れがあるから、それが見る者に、どろどろした印象を与えるのだと思う。』

 みごとに的確な指摘である。だからポーズは常に演劇的で力みかえり、故にかえって扇情性が希薄になってしまうのだが、ご本人は力みたいのだから仕方がない。
 かつて、これからセックスをする相手にも、絶対に自分の裸形を人に見せまいとした、あの若い日の極端なまでの痩身コンプレックスはまるで嘘のように消えている。コンプレックスが強い分だけとんでもない反動になったのだろう。

 ベッドでも、相手がシャワーを使って出てくると、すでにこれ見よがしの全裸であお向いているようになっていた。
 15年前、相手を先にベッドにねかせて、裸身をさらさないようにして、やがて獣があえぐような声を震わせて、相手の体に這いのぼってきたのとは大違いになってしまった。

『目をつぶった私には白いくものようにさえ思えた』小さくて細いぐにゃぐにゃの肉体と態度だったのに――。』

 福島次郎さんも、序文にこの本を書きあげるまでに長い年月をかけたと記している。
 福島次郎さんも、藤田竜さんも、すでにこの世にいない。三島由紀夫さんはゲイだったからこそ、すばらしい多くの作品を残したということだけは忘れてはいけない。

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第12回「伊藤文学と語る会」

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10月20日(土)午後2時~4時(予定) ※途中参加・中途退出自由。
会費なし(コーヒー代の実費のみ)
会場:下北沢 カフエ「邪宗門」
住所:東京都世田谷区代田1丁目31-1 TEL03-3410-7858

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初めての方、女性の方、ご年配の方、お一人様、大歓迎!
お気軽なご参加を、お待ちしております。

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