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2012年12月15日 (土)

優等生と劣等生とのサンフランシスコでの出会い!

「奇跡」というべきか、偶然といって片付けられないような話が現実にあった。

 ぼくは代沢小学校(当時は国民学校)に入学したのが、日中戦争が始まった頃の昭和13年、卒業したのが、太平洋戦争が終わる前年の19年の3月だ。
 
 級替えは1年から6年まで、ずっとなくて6年間、激動の日本の中で育った。
 
 ぼくは早生まれなので、背が小さく、ひ弱で一番前の劣等生。塩谷信幸君の、お父さんは内科の医者ですぐ近くで開業していた。
 
 塩谷君は東大医学部に入学したくらいだから、優等生で背も高く、後ろの席に座っていたから、6年間、口をきいた記憶はない。
 
 戦争が激しくなって、田舎のある子は疎開したりして、バラバラになってしまったから、同窓会などは一度も催されたことはない。
 
 塩谷君のお姉さんは、ぼくより3歳ほど年上だが、今でも活躍している、有名な推理小説家で、皆川博子さんという方だ。皆川さんとは、渋谷のギャラリー「美蕾樹」で、二三度出会ったことがある。

 もう、10数年前になるだろうか。アメリカのゲイマガジン『フロンティア』のオーナーのボブさんの招きで、サンフランシスコのゲイ・パレードに参加したことがある。
 
 アメリカのゲイ・マガジンのオーナーと、日本を代表して、『薔薇族』の編集長が、一台のオープンカーに乗って、参加することになっていた。

 それが体調がすぐれず、とても無理だということで、ボブさんの代わりに女房と一緒に、ゆかた姿でオープンカーに乗って、パレードに参加した。
 
 沿道の何十万という観客も、あたたかく迎えてくれたのは感激だったが、その観客の中のひとりに塩谷君がいたというのだ。
 
「伊藤文学」という60年以上も前の旧友の名前をよくぞ覚えていたものだ。人の名前はほとんど忘れているというのに、さすがは東大出だ。
 
 そのときの模様を塩谷君がブログに書いてくれたのだが、ぼくのブログを更新してくれている、猪口コルネ君が今になって見付けだし紙焼きにして見せてくれた。
 
 塩谷君は、北里大学名誉教授で、今でも活躍されているようだ。

「現役の時だったからもう20年近く前のことだったと思う。
学会でサンフランシスコに来て、ヒルトンかどこかに泊っていた時のことだ。
高層ホテルの部屋の窓から下を眺めていると、マーケット・ストリートだったか、大勢の人が集まりパレードが始まった。
部屋の掃除に来たメイドに聞くと、ゲイ・インターナショナルというお祭りだという。
しばらく部屋を空けなければならぬので、散歩がてら通りに出てみた。

 

ブールバードは観客でいっぱいである。 
デコレーションの飾られた車が通るたびに、歓声が上がり、紙吹雪が舞う。
その中、ひときわ高い喝采とともに、黄色のオープン・カーが登場した。そこに仁王立ちで、絣の浴衣をまとって観客に手を振っているのは、旧友「伊藤文学」ではないか。小学校卒業以来だから最後にあったのはもう半世紀も前。でも、車には大きく「ブンガク・イトー」とローマ字で書かれている。
やがて車は通り過ぎたが、彼がこちらに気づく距離ではなかった。

 

小学生時代、文学といういささか変わった名前の為、彼はいじめの対象だった、今ならば、「悪魔」と名付ける親もあるくらいで問題にはならないだろうが。
自身は異性愛者だが、仕事として「薔薇族」というゲイの為の雑誌を編集し、その道のオーソリティだとは噂で聞いていた。
だが、その小学校のクラスメートの彼に、50年ぶりに、サンフランシスコで出っ食わそうとは。
部屋に戻ってからもしばらくは呻いていた。

 

自分にその卦はないが、僕はゲイに偏見はない。
日本では、“御稚児さん趣味”といって、どちらかといえば格式のある風習の感がある。
だが、留学当時はまだ欧米ではゲイはご法度だった。皆ひた隠しにしていた。それでもやはり人の知ることにはなる。
古くはオスカーワイルド、そしてチャイコフスキー。
禁断の木の実だから、なお美味なのか。
その為に一生日の目を見ることのなかった優秀な外科医も個人的に知っている。
だが、そのためか、元来の性格なのか、ゲイの方は概して心がやさしい。

 

粗悪な類似雑誌に押されて「薔薇族」は苦戦を強いられ、何回か廃刊の憂き目にあっているという。」

 小学校時代の優等生と、劣等生とのサンフランシスコでの出会い。それも半世紀以上も過ぎてのことだ。

 級の中でめだたない、いじめられっ子の僕をよくぞ覚えてくれていたものだ。

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第14回「伊藤文学と語る会」

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12月15日(土)午後2時~4時(予定) ※途中参加・中途退出自由。
会費なし(コーヒー代の実費のみ)
会場:下北沢 カフエ「邪宗門」
住所:東京都世田谷区代田1丁目31-1 TEL03-3410-7858

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初めての方、女性の方、ご年配の方、お一人様、大歓迎!
お気軽なご参加を、お待ちしております。

 

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