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2012年12月22日 (土)

「青春のかけら取り戻そうと燃え」この気持ち分かります!

 父、伊藤祷一は、若い頃、文学青年で、同人雑誌を出していて、直木賞作家で演劇評論家でもあった、あんつるさんと呼ばれて親しまれていた安藤鶴夫さんと一緒に活躍していたようだ。

 作家になる夢は捨ててしまったものの、中学生時代は、俳句は高浜虚子に、日華事変ごろから、短歌を斎藤茂吉に、川柳は斯界の巨匠、岸本水府に師事していた。

 最高の指導者に師事できたことは、幸せだったと本人は言っている。それが俳句、短歌ぐらいでやめておけばよかったのに、川柳にまで手を染めてしまって、収集がつかなくなってしまったと、こぼしている。

 川柳が一番、性に合っていたようで、ハンセン氏病の療養所、群馬県にある栗生楽泉園の患者たちに、長いこと川柳を教え、『ふるさとを捨てて』という合同句集を昭和47年11月に編集、発行人になり、刊行している。

 父のもとで、ぼくはどこにも勤めず、ずっと過ごしてしまったのに、父とは気性が合わないというか、まともにしゃべった記憶は、まったくない。

 今になって、父の残した川柳を読んでみると、晩年は川柳に夢中になっていただけに、なかなかいい句がある。

 女好きで、いろんな女に手を出し、母親を泣かしていた父の恋を読んだ、句をひろってみた。ああ、あの女のことを読んだ句だなと思われるものもある。

 吉田絃二郎という、戦前の流行作家が、全財産をお手伝いさんのお春さんにあたえてしまって話題になったことがある。その作家が亡きあとの後始末をした父が、お春さんとできてしまった。その女のことを句にしてるなと思われる作品が多い。

臆面もなく宿帳に妻と書き

割切れぬ心のままに逢いを重ね

石光る指つつましく君はこばむ

君去りしあとはかなくて灯をともす

握手して別るる時の心ゆらぐ

 前にも父からの遺伝のことを書いたが、「女好き」も、父からの血脈かもしれないから、父のことを責めることは出来ない。

遠くより愛していればそれでよし

妻と書いて年齢もさばを読み

逢えばまたくずれてしまう別れる気

結婚を迫るその目が恐ろしい

 不倫の相手のお手伝いさんに、父は結婚を迫られたようだ。さすがに母や、4人の子供を捨てて、離婚することはできなかった。泣く泣く、若いお春さんとは、別れることになってしまったが、その後も別の女性と不倫を続けていたのだから、見事としか言いようがない。

 作家が亡くなって、その骨つぼが置いてある部屋で、お手伝いさんとできてしまった。ぼくも経験しているが、骨つぼの中の骨って、時間が経つと、ガサッと音がする。この句はすさまじい。

つぼの骨くずれる夜に恋進む

 72歳で父は倒れ、それから亡くなるまで母の看護を受ける身になってしまった。

花枯れてふたたび帰りこない人


131a
戦前の第一書房前の父

131b
4人兄弟と母

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