『貧乏暇あり・札幌古本屋日記』
西暦2013年(平成25年)新しい年を迎えました。まったくネットを触ったことがないぼくが、息子の嫁が最初で、それから3人もの協力者のお蔭で、8年もブログを書き続けてこられたということは、奇蹟としか言いようがありません。本年もよろしく。
もう1年を越して、ぼくの手足のように支えてくれているS君は、若くて有能、それにわが家のすぐ近くに住んでいる。
ぼくに関する書評や、コメントがネット上にのっていると、紙焼きにして見せてくれるありがたい人だ。
『薔薇族』の誌上では、創刊して間もなくから「伊藤文學のひとりごと」という2頁のコーナーを作って、廃刊になるまで書き続けてきた。
小説のような長い文章は、頭の悪いぼくにはとても書けないが、学生時代に短歌を作っていたので、短くまとめることにはなれているのかも知れない。
原稿用紙4枚、それを週に2編書くということなど、なんでもないようだけど、これを書き続けるということは、思ったより大変なことなのだ。
ブログを書いている人の数って、どのくらいいるのか、他人さまの書いたものを読むことができないぼくには知るよしもない。
一昨年の9月、ぼくのブログを読んでくれているという、札幌市豊平区に住む、須賀裕子さんという方から手紙をもらったことがある。
ブログに書いたものを集めて、彩流社から出版した「やらないか! 『薔薇族』編集長による極私的ゲイ文化史論」を読んでくれての手紙だ。
「御礼状を早くと心せきながら、あまりの面白さと興味深さに、ついつい何度も読み返し、読み返しして、こんなに遅くなってしまいました。(中略)
救世軍の廃娼運動につくした、お祖父様の血が伊藤さんに受け継がれていることに驚き、また感動いたしました。(中略)
まだまだ多くの方との交流や、秘話を心におさめていらっしゃることと存じます。今後とも興味深いエピソードを折にふれて御披露頂けたらと期待しております。」
その後、何度かの手紙のやりとりがあって、須賀さんが、古書店を経営していることを知ったので、閉館した「ロマンの泉美術館」の残った絵葉書をお客さんにプレゼントしてあげたらと送ってあげたことがあった。
宅配便で「論創社」の今井さんという方から、『貧乏暇あり――札幌古本屋日記』(定価・本体¥1800+税)335頁もある分厚い本が送られてきた。
著者は須賀章雅さん。須賀裕子さんのご主人だということは、すぐに納得できた。
本の発行日が2012年12月30日発行とある。遠い昔の話だが、ぼくが単行本を出していた頃は、年末ぎりぎりに本を出すのをさけたものだ。それは本の取次店(問屋)が忙しいものだから、書店への配本がいい加減になるからだ。
あとがきを読むと、湯たんぽでしのぎつつ書いたようだが、「ブログ日記が編集者さんの目に留まり、半ば諦めかけておりましたが、著書上梓の運びとなりました。」
出版社の編集者の目に留まって本になる。こんなラッキーなことってあるのだろうか。ぼくの場合、持ち込みなのだから、運のいい人っているものだ。
『貧乏暇あり』とは、うまいタイトルをつけたものだ。まだ、あとがきしか読んでいないが、このご主人を支えている須賀裕子さんという人、すごい女性だということが、伝わってくるようだ。
現在のぼくも『貧乏暇あり』。ぼくのブログを、どなたか目に留めてくれるか?
須雅屋の古本暗黒世界
http://d.hatena.ne.jp/nekomatagi/
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<今週の文学さん>紅白歌合戦―美輪明宏の感想
毎週『薔薇族』初代編集長・伊藤文学さんに、ちょこっとインタビューする「今週の文学さん」。今回は、去年末の紅白歌合戦(美輪明宏『ヨイトマケの唄』)について感想をうかがいました。
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