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2013年1月19日 (土)

夢を描けば、夢は必ずかなう!

 昭和の柿本人麿、歌聖とも称せられた歌人、斎藤茂吉は昭和28年(1953)2月25日、71歳でこの世を去った。

 それから69年の歳月が流れ、多くのお弟子さんも、この世にいない。茂吉に出会えたのは、中学二年生のときのぼくと、姉ぐらいしかいないのではないか。

 山形県大石田の疎開先から戻り、長男の茂太さんが神経科の診療所を開業していた、代田の家に茂吉夫婦が帰京してきたのは、昭和22年(1947)のことだ。

 その頃、ぼくの父、祷一は、第一書房時代の仲間だった、斎藤春雄さんが戦後すぐに斎藤書店を興し、緑道沿いの高台に事務所兼自宅があったのを手伝っていた。

 斎藤書店で茂吉の『童馬漫語』と『童牛漫語』を出版することになり、父が手がけていた。

 茂吉が65歳の頃だ。
 環7などなかった静かな住宅街を抜けて、桜並木の代田側ぞい(当時は川が流れていて、ふなや鯉や、どじょうなどもいた)の道を歩いて、斎藤書店に寄り、足をのばして代沢小学校のそばのわが家へも風呂敷包みを下げて、よく訪れていた。

 茂吉は丹念に日記を書き続けているが、カタカナまじりで、簡単なものだ。孫の茂一がよほどかわいかったのだろう。孫と散歩したり、遊ぶのが楽しみだったようだ。

 12月23日には、「夕食の時、電灯ツカズ難渋シタガ、直グ床中ニモグリ込ンダ」
 戦後の時代、よく停電したものだ。

 昭和23年の2月13日 金曜 クモリ
「午前中、茂太ノ患者2人(伊藤祷一夫人ノ紹介モアッタ)今日ハ大ニ勉強シヨウトシタガ駄目デアッタ 今日ハ茂太ノ患者合セテ3人 夜ヤヤ冷」

 当時の茂太さんの患者さんの来院は少なかったのだろう。ぼくの母がとなりの家の奥さんが頭がおかしくなったので連れて行ったのが、茂吉はうれしかったのかも。今の時代のようにストレスがたまって、ウツ病になる人なんていなかった。

「4月11日 日曜 ヤヤスズシイ クモリ 夜 風邪ヒク 夜 ヤヤ寒
 斎藤書店ヲ訪フ、留守 伊藤祷一氏訪フ 留守」

 この時だったのか、姉が腹痛で二階で寝込んでいた。母は茂吉が医者だというのを知っていたので、茂吉に診てもらいたいと、お願いした。

 茂吉は地下たびをぬいで、二階で寝ている姉のお腹をさすって、診てくれた。現役の医者をやめて何年も経っている。それに茂吉は神経科の医者だ。

 お腹をさわったぐらいでは、なんの病気か分からないのは当然だが、茂吉って面白い人だ。姉の話だと、茂吉の手のひらはザラザラしていたそうだ。結局は盲腸炎で外科に入院して手術を受けたのだが、手おくれで腹膜炎になっていた。

 晩年の歌集『つきかげ』の中に、こんなユーモラスな歌がある。

 

税務署へ届けに行かむ道すがら馬に逢ひたりああ馬のかほ

 姉のお腹をさすってくれた茂吉と、馬の歌と重なるものがあるではないか。茂吉は昭和25年(1950)11月、新宿区大京町に移られたが、代田に住んだ3年ほどにも多くの作品を残している。

 

代田川のほとりにわれをいこはしむ柳の花もほほけそめつつ

 ぼくは長い間、この作品の歌碑を建てて、残したいと夢みてきた。夢を描けば、必ずかなうものなのだ。(つづく)

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代田の茂吉旧居

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Bungakusan <今週の文学さん>愛の潤滑液「ラブオイル」について
毎週『薔薇族』初代編集長・伊藤文学さんに、ちょこっとインタビューする「今週の文学さん」。今回は、『薔薇族』発のオリジナルローション「ラブオイル」についてうかがいました。


第15回「伊藤文学と語る会」

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1月19日(土)午後2時~4時(予定) ※途中参加・中途退出自由。
会費なし(コーヒー代の実費のみ)
会場:下北沢 カフエ「邪宗門」
住所:東京都世田谷区代田1丁目31-1 TEL03-3410-7858

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初めての方、女性の方、ご年配の方、お一人様、大歓迎!
お気軽なご参加を、お待ちしております。

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