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2013年7月 8日 (月)

吉屋信子の『ときの声』

 昭和39年11月6日から昭和40年4月29日(1964年~1965年)に「読売新聞に連載された、作家、吉屋信子さんのノンフィクション小説といえる「ときの声」は、救世軍の広報誌をタイトルにしたものだ。

 1964年というと、東京オリンピックが開催された年で、今から49年も前のことだ。

 ネットを見れないぼくは、吉屋信子さんがいつ生まれて、いつ亡くなったのかを調べようがないが、姉が読んでいた少女雑誌を読んだ記憶がある。

 代表作は「花物語」で、女性同士の淡い恋物語が描かれていたのでは。第二書房から刊行した内藤ルネさんと本間真夫さん(ペンネーム・藤田竜)が企画編集した『薔薇の小部屋』1978年秋の号で、「特集・おもいでの少女小説」の中に、田辺聖子さんが「少女小説に夢中だったころ」に、吉屋信子さんが救世軍の廃娼運動に情熱を燃やして書いた小説の答えともなることが書かれていた。

「吉屋信子は、上流社会の令嬢の生活も書くが、ごく庶民の貧しい家の少女達も主人公にとりあげた。どんな境遇の少女たちにも共通しているのは、邪心のない、可憐で、しかも、あたたかな、少女らしいはにかみを失わない性格である。

 有為転変の運命に翻弄されながら、少女たちはやがて周囲の人の光となり、慰めとなる存在になってゆく。

 私は吉屋信子の少女小説によって、少女の誇り、女性の尊厳を教えられた気がする。吉屋さんは、清潔なキリスト的理念を背骨とし、古い戦前の日本の男尊女卑思想に敢然とたちむかった人だ。だから少女小説にも、女であることの誇り、自負、自重を志たかくうたいあげていた。それは男を下にさげすんでみるものでなく、どこまでもやさしく、心広く思いやりゆたかな「永遠の女性」的イメージをそなえたものなのであった。私はそのヒロインたちに魅せられた。」

 吉屋信子さんは、この小説の終わりにこんなことを記している。「この(ときの声)を書くについては、さまざまの資料のなかに、筆者は埋もれて、たくさんの人に会って話を聞かせていただいた。そのなかでいちばん求めて、たやすく得られなかったのは、元の(遊廓業者)に会って話してもらうことだった。」と。

 ひとつの小説を書きあげるのに、作家というものは、多くの資料をみつけだし、古書店に通い、吉原の文献を探し、大変な努力をして書きあげる。ぼくの祖父、伊藤冨士雄も救世軍の廃娼運動のスターとしてその中に書き残されていることはありがたいことだ。

 祖父が直接話したことを書き記した『娼妓解放哀話』(沖野岩三郎著、中央公論社刊行)ぼくはこの本をネタ本として、吉原のことをブログで書いてきたが、吉屋信子さんも、この本を参考にされている。この本は昭和5年に刊行された本で、すべての漢字にルビがふられているが、昔の人が書かれた文章なので読みづらい。

 吉屋さんの『ときの声』は、読売新聞に連載されたものだから、誰にでも分かるように書かれているというものの、読みきるのは大変だ。

 興味をもった方は、おそらく文庫にもなっていると思うので読んでもらいたいものだ。
 この小説の書きだしに、吉屋さんは、こんなことを書いている。

「地下鉄、三輪駅にほど近い古びた門の塀の脇に白ペンキの塗り板が掲げられ(慈光学園)と記している。

 この寺が浄閑寺で、徳川時代からの吉原遊廓の娼妓のなきがらを葬ったところで、遊女の悲惨な生活に触れた部分に記載される寺である。」

 ぼくは浄閑寺を訪ねたことがないが、元気なうちにお参りしたいものだ。

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救世軍の広報誌「ときのこえ」

第21回「伊藤文学と語る会」

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7月27日(土)午後12時~14時 ※途中参加・中途退出自由。
会場:下北沢一番街、カフエ「占茶」
住所:世田谷区北沢2ー34ー11 リアンビル2階 電話・03ー3485ー8978
会費:各自が飲食した分だけ。コーヒー¥380、ハヤシライス¥600

初めての方、女性の方、ご年配の方、お一人様、大歓迎!
お気軽なご参加を、お待ちしております。

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