いつの世でも、性欲ほど厄介なものはない!
ぼくは「雑学倶楽部」という会の会員になっている。最初は「夫婦交換」の雑誌の社長にすすめられて入会した。
月に一度ほど会合があり、講師を招いて30分ほどの講演を聞き、そのあと懇親会になる。もう30年ぐらいの会員だから、事務局長も何人か変わっている。
警視庁の風紀係に長く勤めておられた方で昭和33年に売春防止法が施行される直前に8ミリカメラで、都内の赤線地帯を撮影され貴重な映像を残された方だ。
ぼくの女房と、事務局長の小野常徳さんの奥さんと気があっていたので、仲良くさせてもらった。
その小野さんの残した、豆本のエッセイ集があり、面白いエッセイが載っている。「空閨用特殊兵器」と題するものだ。
「大東亜戦争も半ばを過ぎたころ、日本軍は各戦場で転身、また転身と言えば聞こえはいいが、正確には退却の連続で、旗色が日に日に悪くなっていたころ、名誉ある出征軍人の妻の不貞(当時は姦通とも言った)事件や、戦争未亡人の風紀問題が、厳重きわまりないニュース統制のさなかでも、こそこそとささやかれるようになった。(中略)
根本原因は彼女たちの空閨(夫、または妻のいないひとりの寝室のこと)にある。つまり欲求不満を何とかしてやれば、簡単にケリがつく、と発想したまでは良かったのだが、根が荒っぽい軍人のこと、その方法と言うのが積極的と言うより蛮勇と称した方がいいような猛進ぶりだった。
極秘裏に陸軍軍医学校へ依頼したのが、前代未聞の「女性用特殊兵器」の試作である。開発担当者は首をひねるばかりの最中、ある軍医がハタとひざをたたき、うまいことを提案した。
警視庁が昭和8年、ワイセツ物件として摘発し、その現品を参考品として秘蔵していた特殊器具のことを思い出した。
軍のお声がかりで、有無を言わさずそれを借り出してきて、それに技術的改良を加えることにした。
警視庁の秘蔵品は「セックス・オブ・セックス」と言う、エボナイト製の張り形に、バイブレーターの微妙な振動を伝えるシロモノで、いまなら大人のオモチャ屋で、どこでも手に入るおなじみの女性用具だ。
軍医学校の担当者は知恵を絞って改良し、パワーアップのためのニューモデルが見事に完成、試作品第一号として憲兵司令部に持ち込んだ。大喜びの司令部では「さすがに!」と、その優秀な出来に感心したまでは良かったが。
量産計画と配布方法と言う段階で、単細胞の憲兵たちは、とんでもないミスに気づき、一同がっくり。
資材不足の時局下でも、陸軍の威光でマスプロはなんとでもなるが、この優秀な「空閨用特殊兵器」を一体どんな風にして需要者に配ればいいのか?
まさか出征軍人の留守宅、または遺族宅を戸別訪問し、「このようなものをお宅ではご入用でしょうか?」とご用聞きして廻るわけにもいかない。
そうかといって、予め注文書付きカタログを郵送、希望者に現品郵送というかたちにしても、結局は同じことになろう。
今ごろの厚かましいオバサンたちと違い、しとやかな、しかも名誉ある帝国軍人の妻のだれが本音を吐くものか。そんな次第で、この迷案は日の目を見ずにオジャン。
残念ながら、この試作品の現物はおろか、設計図も写真も残っていない。」
それにしても小野常徳さんが秘蔵していた、エッチなコレクションは、どこに行ってしまったのか。いつの世でも人間の性欲ほど、厄介なものはない。
第22回「伊藤文学と語る会」
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8月24日(土)午後12時~14時 ※途中参加・中途退出自由。
会場:下北沢一番街、カフエ「占茶」
住所:世田谷区北沢2ー34ー11 リアンビル2階 電話・03ー3485ー8978
会費:各自が飲食した分だけ。コーヒー¥380、ハヤシライス¥600
初めての方、女性の方、ご年配の方、お一人様、大歓迎!
お気軽なご参加を、お待ちしております。
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コメント
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投稿: エルメス 食器 ガダルキヴィール | 2013年9月 7日 (土) 13時59分