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2013年12月28日 (土)

異性との結婚問題が、いちばんの悩み!

『薔薇族』誌上で「伊藤文学のひとりごと」の頁に、最初にとりあげたのは「結婚のこと」だった。
 昭和の40年代、50年代の頃は、読者の一番の悩みごとは、異性との結婚の問題だ。結婚しないわけにはいかなかったからだ。
 
 小学校の教師の話を書いている。
 
「今日、ひとりの青年が訪ねてきた。小学校の教師だった。同じ学校の女性の先生に愛されてしまい、彼女のほうが積極的で、いつの間にか親同士が会って、式場の日取りまで決められていた。
 
 迫り来る結婚式のことを考えると、不安でたまらず、ぼくのところに相談にきたのだ。そのときは「なんとかなるから結婚しなさい」と答え、「やめなさい」とは、どうしても言えなかった。
 
 彼のことなど忙しさにとりまぎれて忘れてしまっていた頃、彼から電話がかかってきた。「うまくいっているかい」と言うと、いかにも元気のない声で、「それが、どうも」ということだ。もう半年も経っているというのに、数回しかセックスはしていないという。
 
 夜、早く帰るとせがまれるものだから、なるべく外で遊んで、遅くなって帰ってくる。最初のうちは、他に女がいてそれで帰ってこないのではと追求する。変だと思った彼女は同僚の男の先生に相談したら、「君の亭主はホモじゃないの?」と言われてしまった。
 
 どうにも弁解ができなくなって、またぼくを訪ねてきた。根掘り葉掘り聞くと、彼女のからだに触れることがいやで、いざとなると勃起しないという。
 
「自分の欲望はどうして処理しているの?」と聞くと、自分の家の中のトイレで、オナニーをしているそうだ。
 
 美人の奥さんで料理は上手だし、部屋の掃除はよくするし、非の打ち所はない。それに共働きまでしてくれている奥さん。彼女にはなんの罪もない。
 
 世間体のために、ひとりでは寂しいから、年老いてから子供に面倒をみてもらうために、田舎に住んでいて長男だから、どうしても結婚しなければならなかった。
 
 それがために、どれだけ多くの女性が悩み苦しみ、傷ついたことか。そしてその子供が、どんなにか父を呪ったことか。そして自分自身もいやな思いをしたに違いない。
 
 それでもどうしても女性と結婚する。そしてまた、同じ悲劇がくりかえされる。なんというおろかなことだろう。
 
 その悩み、失敗を若い人たちに教えようとしないのだろうか。自分さえよければいいというのだろうか。なんとかうまく結婚生活を続けている人もいるのだから、どうすればうまくいくのか、若い人たちに教えてもらいたい。また、結婚をしないで、ひとりで生きている人も、その生き方を教えてほしい。
 
 女好きの男と男好きの女との結婚のことなら、つたないぼくの経験からも、多少はアドバイスできるけれど、まだわからないことばかりなので、はがゆい。
 
 他人は偽ることができても、自分は偽れないから、ぼくは一生、独身で暮らすという人もいる。でも人間って、どうしてこうも弱いのだろう。
 
 秘密をもって結婚している人もさびしい。ひとりで暮らしている人もさびしい。どちらをとるのか、それは最後は君が決めなければならないのだろうか。」
 
 創刊した頃のぼくも、読者の結婚についての相談には、うまく答えられなかった。その時代の読者のいちばんの悩みは、女性との結婚の問題だった。それに対して、ぼくがはっきりと答えられるようになったのは、数年を経てからだった。
 
 今の時代、男も女も結婚しない人が増えてしまったが、それがいいのか、悪いのか?
20131224

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コメント

You are my inhalation, I possess few web logs and rarely run out from post :). "Follow your inclinations with due regard to the policeman round the corner." by W. Somerset Maugham.
Ecco Ladies AW13 http://www.eccoshoes.fr/ecco-ladies-aw13

投稿: Ecco Ladies AW13 | 2014年1月 6日 (月) 20時05分

相談事は、その事について既に経験している人にするべきです。
結婚経験者に私が相談したところ、結婚するなら、S□Xは朝が良いと教えられました。
失敗も念頭にいれ、自分で考えて結論を出し、強く生きる。
結婚する、結婚しないにしても、ヘテロの人の3倍以上強い生き方が必要でしょう。
とすると、逆に、ヘテロの人は私たちの3倍以上の楽な生き方をしているのでしょうね。

投稿: GB | 2014年1月 2日 (木) 00時27分

>xxxさん
コメントありがとう。ぼくはネットを触ったことがない人間なので、メールを自分で返事することができません。ブログやこのコメントは若者に頼んで更新してもらっています。
電話か手紙で返事をします。正月もどこにも行きません。遠慮なく電話をかけてください。夜はほとんど家にいます。
03-3413-9411

投稿: 伊藤文学 | 2013年12月28日 (土) 23時40分

 伊藤先生はじめまして、いつも興味深く拝読しております。
 私事になるのですが、私は今京都にある大学の4年生で、戦後の日本のゲイ文化をテーマに卒論を書いています。そのなかで幾つかわからない点が出てきましたので、伊藤先生にメール等で個人的にお話を伺い、卒論制作にお力を貸して頂けないかと思っております。
 メールアドレスを添付しますので、よろしければこちらまでお返事を頂ければ幸いです。
 年末の忙しい時期になってしまい恐縮ですが、何卒宜しくお願いいたします。

投稿: xxx | 2013年12月28日 (土) 17時04分

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