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2014年1月 4日 (土)

自分の死を自分でみつめる!

 今のぼくは3、40年前のテレビ時代劇に、完全にはまりこんでいる。小学校6年生の孫は、マンガばかり観ていて、冬休みになってしまうと、テレビを占領されてしまう。
 
 時代劇を観ていると、侍の切腹シーンがよくでてくる。作家の三島由紀夫さんは、切腹マニアで有名で「憂国」などの作品を書き映画にもなった。
 
 1983年ごろ、ぼくは三島由紀夫さんが名前を伏せて書いたと言われてる「愛の処刑」を映画化してしまった。
 
 その頃の『薔薇族』の読者の中にも、切腹に興味をもっている人が、わずかにだがいて、切腹をテーマにした小説を書いている人もいた。
 
 切腹に興味を持っている方から、映画化した時におひとりだけにてがみを頂いたことがある。
 
「切腹の何にかくまで惹かれるのかと申しますと、自分の死を自分で見つめながら、自分の手で、自分の腹を切ってゆく、よほどの覚悟がなければできない、その精神と行為のいさぎよさに、なんとも言えぬ美を感じるのです。
 
 忠義、義理、情、面目など、さまざまな理由で、前途春秋に富む若者が、心ならずも死ななければならぬ立場に追い込まれ、覚悟を決めて、自ら腹を切るという、いろいろないさぎよい場面につきない美を見続けているのです。(最近はあまりいさぎよい人のいない世の中だけに、よけいにいさぎよさに惹かれるのでしょうか?)
 
 もちろん、本当に腹を切れば、そのような絵空事の美しさとは、ぜんぜん違う凄まじいものとはわかっていても、やはり絵というか、私の脳裏に描かれる切腹は、心を引きつけて離さない、恐ろしいほどの美として私をとらえています。
 
 子供の頃から切腹に関心があり、以来、その思いは年代によって強弱はあっても、ずっと消えることなく、現在も続いております。
 
 このことは私の心のなかだけ秘めていることで、親にも妻子にも、誰にも明かしたことはありません。
 
 世間では、私はごくあたりまえの常識的な人間です。ですからこの心の秘密は死ぬまで誰にも明かさずに、済ますつもりで今日までおりました。私が買いためた本とか、描きためた絵などは、ある時期が来たら、ひそかに処分するつもりでした。
 
 40数年にして、初めて伊藤さんひとりに、私の心のなかをお話してしまいました。」
 
 たしかこの方は東北に住んでおられた方だと記憶していますが、もう生きているはずはない。
 
 ぼくは同性愛は異常ではないということを言い続けてきた。ところが映画『愛の処刑』では、異常であることがすばらしいことのように思えてくる。異常であれば異常であるほど、この映画は光り輝いてくる。
 
 この原稿は2013年の大晦日の日に書いている。ぼくはちょっと後悔していることがある。ぼくが創刊した『薔薇族』のことだ。
 
 7、8年前、印刷代が払えなくなってきて、印刷所が突然、手を引いてしまった。確か381号が最後だったか。
 
 いさぎよくここで廃刊にすべきだったのだ。そのあと、ぼくの手を離れて続けられている。
 
 今は2代目の竜超君が、季刊で出してくれていて、409号になる。ぼくはまったく竜君の出している『薔薇族』には、口出ししていない。
 
 2014年、年が改まったところで、才人、竜超君、誌名を変えて新しい自分の雑誌を出していくべきではないだろうか。

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