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2014年2月 3日 (月)

最初で最後の手紙をもらって!

 30年前、40年前のゲイである『薔薇族』の読者は、異性との結婚問題で、みんな悩んでいた。そのころのゲイの人たちは、ある年齢に達すれば、どんなに女が嫌いでも、いろんな理由で結婚しないわけにいかなかった。
 
 今の時代に生きている人たちにも、そのころのゲイの人たちの悩み、苦しみも、少しは知ってほしいと思う。
 
「私はこの手紙を最後に同性愛をやめようと思います。キャリア10年の私ですが、その間に結婚もし、子どもも出来ました。何不自由ない快適な毎日を過ごしているのですが、ときどき同性愛の欲望が顔を出します。
 
 と、言っても地方に住んでいますから、具体的に付き合っている人はいません。家族に隠れながら、雑誌を読んでいる程度で、たまに仕事で上京したときに、それらしき場所へ顔を出す程度です。
 
 私は過去に一度、妻にホモ雑誌を見つけられた経験があります。まだ、幼かった子どもを抱いて、がっくりと肩を落として、泣き崩れていました。
 
 私はホモとも、バイセクシャルともつかないほうですから、他の雑誌とまぎれて、単なる興味でホモ雑誌を買ってしまったということで、その場は逃れました。
 
 その後、妻は私を疑っていないようで、一年経っている間に、私はまた雑誌や、写真を集め、きわどいバランスで、バレないように楽しんできました。妻にとってはひどい話です。
 
 結婚を境に、私はストレートになる決心をしました。地方というギャップが私は幸いしました。世間体もあるし、ハッテン場も知らないし、一見、私はやさしい夫として、蔭で楽しんでいたのです。
 
 ホモ雑誌をみつけて、涙にくれていた妻の姿が浮かんできます。もう二度と、あんな辛い情けない気持ちに妻をさせることはできません。家庭を生活を捨てるのと同じです。
 
「禁煙」と言いつつも、ついタバコに手を出す男でも、自分の人生、家庭を代償にするほど意志は弱くないはず。その決心を誰かに伝えたくて、こうして最初で最後の手紙を書いてます。
 
 一見してやさしいのでなく、本当にやさしい、大きな心の人間になって、妻や子、そして私とかかわるすべての人たちと、温かくつきあっていきたい。
 
 雑誌や、写真はすべて焼きました。私の過去も一緒に。裏切りの行為は自分の心もみじめにしてしまいます。欲望にもだえては、自己嫌悪の繰り返しの中で、私は何を得たのでしょうか。
 
「結婚をすることが、すでにひとりの女性を不幸にしている」ということにならないうちに、私のほうが妻によって、ストレートになれたと信じているのです。」
 
 宮崎の消印のある一通の手紙でした。この手紙を受け取ってから、何十年という月日が流れていますが、この人、この決意をもったまま一生を終えただろうか。
 
 このような手紙をもらったことは、この人だけではなかった。近々結婚しますという手紙をもらって、いつでも温かく迎えるから、万が一、離婚するようなことになったら、戻っておいでと書いた。
 
 たばこをやめるやめないも、わが家の女房や息子のように簡単にはやめられないが、同性愛者で生まれてしまったということは、もっと本質的なものなので、死ぬまでやめられるものではない。
 
 誰が悪いわけでない、本来なら結婚生活って楽しいものなのに、こんな悲しい、つらい思いをするなんて…。
 
 ゲイでなくても、結婚してすぐに別れてしまう人が多い今の世の中。こんな思いをしても家庭を大事にしようというゲイの人がいたことを知っててほしいものだ。

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