« 少年愛教師、逮捕の悲しい記事が | トップページ | 母親だけが悩んでしまうなんて! »

2014年2月22日 (土)

読む人の心が少しでも晴れてくれれば!

読む人の心が少しでも晴れてくれれば!
 30数年間、ぼくのよき相棒だった藤田竜君、彼と出会わなかったら『薔薇族』の誌名は多くの人々の心の中に残らなかっただろう。
 
 1993年9月21日発行の『薔薇を散らせはしまい』(批評社刊)462ページもの分厚い本だ。
 
『薔薇族』の24号から連載を始めた「伊藤文学のひとりごと」という2ページのエッセイ。249号までに書きためたものを1冊にまとめた本だ。
 
 今は亡き國學院大學の教授、阿部正路君が「再び終わりのない友情の証として」のタイトルで序文を寄せてくれている。
 
 巻末の藤田竜君の文章「少しでも心が晴れてくれれば=伊藤文学の仕事の軌跡」と題してのそれは、長い間、雑誌を共に出し続けてきて、ぼくのことを理解してくれた、うれしい内容だった。
 
「この世にまれな雑誌を世間に広めた伊藤文学の営業面の苦労を僕は直接には体験していない。販路を独自に開拓し、取次会社を説得し、少しずつ市場を広げていった。大変な努力だったと思われる。
 
 競合誌が僕たちの敷いたレールに乗って、ラクラクと登場してくる。だがありがたいことに『薔薇族』は、部数が落ちることはなかった。
 
 それは伊藤文学の志が、長い時間を経て、気まぐれな読者にも通じたからである。すべてを受け入れる伊藤文学の人柄の温かさが、誌面ににじみ出ていたからである。
 
 猟奇や陰湿や、変態や、非人間的という―今では信じられない―それまでの色彩を切り離した、同じ人間としての姿勢がそこにあったからである。
 
 自分には肉体的な共感があるわけではなかったのに、悩むものには部外者であろうと必ずや力になれるという確信が彼にはあった。
 
 時には誠実を通り越して、僕には愚直に映ることもあった。明らかに読者ではないとわかる男たちからの相談や、問い合わせや、愚痴、一方的なおしゃべりのくどくどしい電話に、ずうっと付き合うのである。同席していていらいらするのが常であった。僕なら切り口上や、嫌味を言って切ってしまうのにと、いつも思っていた。おしゃべりが自己解放の無意識の手段とわかっていても―。
 
 伊藤文学は自社の客ではない人にも親切であった。それらの積み重ねも、扇情しかできない競合誌との差を作っているのだろう。ただのエロ雑誌は、とうてい作れない人なのである。同性愛者しか、同性愛者の心をつかまえられないという考えは通用しないのであった。この点を伊藤文学という人から、僕は教えられた。人間同士のおもいやりに何の代わりがあろうか。
 
 自分だけが変わって生まれていたのではない。同じ人間がこんなにもいる。早いうちにそれを知ることは、人間形成の上でどれほど大切なことか。
 
 若者だけではない。心底打ち解け会える同族に巡りあうことなく、隠れて暮らす人々の寂しさ、虚しさは働き盛りを過ぎてからのほうが濃密かもしれない。
 
 人を救った出版物は数知れずあろう。しかし、世に知られることなく、救われた当人も口にはしないものとして『薔薇族』はあり、これからもそうであろう。
 
 それゆえに伊藤文学は、一般的には評価されにくい。
 
 それでもいいではないか、と僕は思っている。もともと分かってくれる人だけに心を通じたいと始めたことなのだ。百人か、千人か、あるいは何万の人か、『薔薇族』を見る前より、少しでも心が晴れれば、それだけでいいではないか。」
 
 ネットのブログなるものを知らないで、藤田竜くんは、この世を去ってしまった。彼の言葉を肝に銘じて、「伊藤文学のひとりごと」を書き続けたいものだ。
 
★読書感想をぜひ聞かせてください。下北沢南口のカフエ「つゆ艸」のママの由美さんに、携帯電話でコメントを見せてもらっています。

|

« 少年愛教師、逮捕の悲しい記事が | トップページ | 母親だけが悩んでしまうなんて! »

コメント

Here's Some Of The Procedure That's Also Enabling bag-industry professionals To Expand

投稿: アディダス パーカー | 2014年3月22日 (土) 18時58分

読む人の心が少しでも晴れてくれれば!: 伊藤文学のひとりごと
fakeraybancraft http://fakeraybancraft.salonerotisme.us/

投稿: fakeraybancraft | 2014年3月19日 (水) 10時01分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/101967/59154199

この記事へのトラックバック一覧です: 読む人の心が少しでも晴れてくれれば!:

« 少年愛教師、逮捕の悲しい記事が | トップページ | 母親だけが悩んでしまうなんて! »