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2014年11月22日 (土)

マスコミはミカの舞踊の「裸」だけに!

 世田谷区立の体育の教師が、フランスの地下文学の最高傑作の『オー嬢の物語』(澁澤龍彦訳・河出書房新社刊)を舞踊化し、舞台で全裸になるというのだから、マスコミが見逃すわけがない。
 当時はテレビは取材に来ない。主に週刊誌、スポーツ紙が主役だった。
 
 舞踊家が公演をするといっても、ありきたりの作品では記事にはならない。公職の体育教師が、それも性をテーマにした『オー嬢の物語』を舞踊化するというのだから、マスコミが目をつけるのは当然のことだ。
 
 公演一週間前のこと、週刊誌の記者がどこから聞き出したのか、学校を訪れて、ミカの上司や、同僚の先生方に『オー嬢の物語』の公演について、いろいろと質問されたことから、騒ぎが大きくなっていった。
 
 週刊誌や、スポーツ紙などは、ミカの裸のことにしかスポットを当てず、興味本位にしか書かないが、これはぼくのねらいだった。
 
 今までの舞踊公演というと、出演者が親族、友人、知人にチケットを押し付けて見に来てもらう。
 一般の人で舞踊に興味を持って、チケットを買い、見に来てくれる人は皆無に近い。ぼくは『オー嬢の物語』という、フランスの地下文学の最高峰の作品を舞踊化するのだから、一般誌に売り込むしかないと思った。
 
 それでコネもなく訪ねたのが『週刊新潮』の編集部だった。その絶大な力で会場は満員になった。
 
 週刊誌が興味本位に書くのは仕方がないことだが、舞踊評論家たちも「音楽舞踊新聞」に舞踊評を買いてくれて、ミカの作品を評価してくれた。
 舞踊評論家の池宮信夫さんも、1967年下半期、洋舞ベスト5の4位に選んでくれている。山野博大さんも3位に選んでくれている。
 
 昭和42年11月25日の「音楽舞踊新聞」で池宮信夫さんが絶賛してくれ、裸だけに焦点を合わせたマスコミに対して、裸になることの必然性と、芸術性をプロの評論家が評価してくれたことは、うれしいことだ。
 
 長い評論なので全部は紹介できないが、最後にこう結んでいる。
「伊藤ミカは舞踊家をやめて、オブジェになって作品を完結した。舞踊家として見られることと、オブジェとして見られることは違う。そのときの視線を受けることで、彼女は品位を身につけた。
『オー嬢の物語』は、その品位を問題にした小説なのだ。〈肉体を涜されることによって彼女は品位を身につけたのである。とにかく問題なのは品位であった。あたかも内なる光によって、照らされるかのように、彼女は品位によって輝いていた。〉という部分を伊藤ミカが舞踊で見事に表現し得たということで、この小説の完全上演が行われたことになると思う。」
 
「この小説の完全上演」これ以上の賛辞はない。裸になるなんていうことは、問題ではない。
 当時の若者が愛読していた「平凡パンチ」昭和43年2月12号の人気コーナー、陳平対談にミカは登場している。
 
 チンペイ あなたの場合、肉ジュバンでなく、全裸にならなきゃいけない理由があったの?
 
 ミカ あります。オー嬢のいうのは完全なるドレイで、ぜったいに妥協しちゃいけない。だから肉ジュバンではウソになります。
 
 あとは『裸の女房(彩流社刊)を購入して読んで、渋谷のポスターハリスギャラリーの写真展を見に来て欲しい。

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