『薔薇族』は有害な雑誌だ!
『薔薇族』は読者の批判的な投稿でも、ボツにしないで掲載し、それに対する返答を編集長のぼくがしてきました。
名古屋市のKさんという、教師からの投稿で、かなり手厳しいものでした。
「読者のひとりとして、またひとりの田舎教師として、とくに不快で苦々しく思っていることを述べさせていただきます。
どうしてこんなにまでして、学校やスポーツクラブを男色と結び付けなければならないのか。私は18年間、公立の中、高校に奉職し、またスポーツクラブの直接の指導者として若人と生活をともにしてきたものです。
生徒とともに、時には喜び、時には涙を流してきました。御誌の小説(大変失礼ですが、内容がきわめて愚劣である)に書かれていることは、一度だって起きたことはないと断言できます。
スポーツに熱中している生徒は高校生になっても、マスターベーションのことを知らないほどに純粋なのです。
発表される小説は「これでもか、これでもか」というように内容、表現が決まってしまっている。あるのは動物的変態情欲のみである。事情を知らないヤングたちが読んだら、男色発生場所であると思うでしょう。(中略)
私は読者として、教師として、学園と関連したものは、たとえどんなフィクションであるにせよ、載せないでもらいたい。
最新号にも「高校生のつどい」などあったが、反吐を吐く思いがする。
御誌ははっきりと成人向けのものであってほしい。きわめて有害な雑誌として警視庁風気係に訴えたい気持ちでいっぱいです。今後の編集をとくに考えていただきたいと思います。」
このKさんという先生、読者と言われていますが、『薔薇族』を購読しているのは、何を求めていたのでしょうか。ぼくは長文の批判に答える記事を書いているが、長くて全部は載せられません。
「運動部の学生さんを男色と結びつけようなどと、毛頭も考えたことはありません。あなたの学校の生徒さんのように純粋にスポーツだけに熱中している人が多いのは決まっています。しかし、運動部の学生の中に読者が多いことも事実です。
この頃の学生さんたちが、一番、精力の強い時でもあり、セックス抜きに考えることはできません。
文通欄の呼びかけを読んでもお分かりの通り、相手の希望を殆どの人が「スポーツ刈り」で、筋肉質で運動部の学生のような」と呼びかけています。大部分の読者が、そういう若者を友達にしたいと願っているのです。
あなたは『薔薇族』に掲載されている小説が愚劣であると言われます。ぼくはそれにも怒りを覚えるのです。
運動部の学生が、しばしば小説に登場しますが、それは読者の理想像なのだから当然のことではないですか。
動物的変態情欲のみなんて、よくも言えたものです。『薔薇族』の筆者たちにプロはひとりもいないし、みんな好きだから書いてくれている人たちです。
『薔薇族』に掲載されている作品は素晴らしいとぼくは確信しています。
運動部の学生たちが精力をもてあまして、相互オナニーをしたところで、女好きの人は自然と女好きになっていきます。
ぼくは男女のセックスを描いたエロ雑誌と違って、青少年が『薔薇族』を読んで、女好きの人間が男好きになってしまうことがないだけに、ある意味で安心しているのです。
男好きの人しか読まない雑誌だから、青少年に害を與えることは絶対にないと信じています。」
とにかく難しい雑誌でした。
スポーツマンタイプが好き!
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