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2015年5月 4日 (月)

無学だということは悲しい話だ!

 ぼくのブログを読んでくれている人たちがなんの話に興味をもったかという、順位がのっている。
 1位は、ぼくの祖父、伊藤富士雄が、大正時代に救世軍(軍隊組織でキリスト教を布教する団体)の軍人として、廃娼運動(廓へ貧し家からお金で売られた娘たちを救い出す運動)の闘士として、多くの女性たちをからだを張って救いだした話だ。
 お女郎さんたちを自由廃業させた、苦労話など、今の時代、語る人はいないから興味を持ってくれたに違いない。
 
 沖野岩三郎さんという作家の方が、直接、祖父から話を聞き、まとめて、昭和5年に中央公論社から『娼妓解放哀話』という本に残した。祖父は大正12年、震災のちょっと前に53歳で亡くなっている。
 
「1ヶ月ほど前に、須崎弁天町の「米河内樓」の二人の娼妓を救い出そうとしたとき、廓の経営者が雇っている暴漢に襲われ、半死半生の大怪我を負ったばかりのときだ。
 救世軍の本営に伊藤くんを訪問すると、頸部にななめに包帯をした伊藤くんは、しきりにそろばんをはじいていた。(※祖父は数字に強い人だったようだ)
 
「なんの計算ですか?」と問うと、伊藤くんはどもり、どもり、こんなことを言った。
「じつに驚いた話です。今まで僕のところへ廃業したいからと言って、救済を頼みに来た娼妓の中の158人に、樓主との貸借関係がどうなっているかと聞いたところ、正確に自分の借金がどのくらいあるのかを答えたものは、わずか70人だけでした。
 この70人を廃業させた際に、くわしくその貸借関係を調査してみると、一人分の前借金は平均337円74銭総計金2万3千6百41円80銭になっている。ところでこの前借金に対して、70人の娼妓が悲しい稼業を強請された歳月は、合計1.86年10ヶ月になります。すなわち一人前平均2年8ヶ月稼いだのですが、樓主の帳面では、彼女らが合計1.86年10ヶ月の間、肉をひさいで、やっと328円55銭しか前借金の償却ができていない勘定になっています。
 つまり彼女らは平均2年8ヶ月ずつ淫売をさせられて、一人前たった4円69銭3厘の借金払いしかできなかったのです。
 さんざん淫乱男の玩具にされて、死ぬほどの苦しい思いをしながら、1カ年に割り当てるとたった14銭6厘6毛、1ヶ月平均4厘9毛弱ずつしか借金が返せないという仕組みになっているのです。
 娼妓に自由廃業を勧告することを悪事でも犯すかのように思う人たちは、この計算をひととおり見るが良い。今、この70人を自由廃業をしないで、正直に樓主の言いなり放題になって稼いで、前借金のなくなる日を待つとしたらどうでしょう。
 1日平均4厘9毛では、じつに1.88年10ヶ月と6日の長い年月を稼がなければならない計算になるのです。いかに無病息災な婦人であっても、娼妓を1.88年10ヶ月も勤められるはじのものではあるまい。
 どうしたって1日も早く公娼全廃までこぎつけなければならないが、まず今日のところでは娼妓自身に「自分たちは金銭で買われた身でない」という自覚だけでも與えてやりたいものです」
 
 無学であるがために、廓の経営者の言うままになっていた女性たち。今の世でも貧しいがために学校に行けない子供たちがたくさんいる。
 世界中の子供たちが、学校に行けるようにしなければ。無学は悲しいことだ。
 
Img_3787
祖父に似ないで数字に弱いぼく

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