私の体がワイセツ?!
「マ××」という言葉の意味を知ろうと思って、常用している小学館刊の『新鮮国語辞典』を開いたが載っていない。岩波書店刊の『広辞苑』(4版)にも載っていない。
カフエ「織部」の店長、奥村君にネットで調べてもらったら、第6版の『広辞苑』から乗っているそうだ。この言葉はテレビでも使えないし、あまり誰もが口にしない言葉だからなのかもしれない。
そんな「マ××」を連呼する女性アーティストのろくでなし子さんが現れたのだから、ワイセツ物を取り締まる警視庁の風紀係も困惑したに違いない。
ろくでなし子さんが、最近、筑摩書房から『私の体がワイセツ?!』という本を出版したというのを知って、風紀係には大変お世話になったぼくとしては、本屋に滅多に行かないのに、早速買ってみて、一気に読んでしまった。
まえがきにこんなことが書かれている。
「ま××は人間の女性ならだれでも持っている体の一部。なのにどうして日本人は毛嫌いしたり、無視したりするの? もしくは、必要以上にあがめたてまつるの? いやがる人は、そのいやなま××から生まれてきたのに、何を言っているの?
そんな疑問からわたしはま××のアートを作りました。作れば作るほど、おじさんたちに怒られるので、わたしはムキになってもっとすごいま××作品を作ってやろうと奮起しました。」
女性器って見た目は、そんなに美しいものではないと思うけれど、それをアートにして美しくしてしまったのだから、誰も文句を言うことはできないし、すごいことだ。
40数年前、ぼくの先妻の舞踊家、ミカが公立の中学校の体育教師でありながら、舞台でハダカになるということで、大変な騒ぎになってしまったことを思い出す。60年代と、今と「ハダカ」と「ま××」が重なるような気がする。
ろくでなし子さんは、作品がワイセツだということで、2回も逮捕され、留置所にほうりこまれ、2014年12月24日、起訴された。これから裁判ということになる。
ぼくも単行本の『女の防波堤』で発禁、『薔薇族』は4回も発禁処分を受け、始末書を書かされたことは20数回、そんなぼくだからろくでなし子さんが、どういうことになるのか関心がある。
ぼくの時代は、調書は3枚複写で、カーボン紙を間にいれて、刑事が文章にしていく。刑事は文字を知らないので、小さな辞書を見ながら書くのだから、大変な時間がかかってしまった。
今は時代が変わってワープロだそうだが、年配の刑事さんにとっては調書をとるのはやはり時間がかかるようだ。
本を読むと、時代が変わっても刑事たちの体質は変わっていないようだ。ぼくも留置所に入って体験したいと思ったりしたが、留置所でのろくでなし子さんの体験を読んだたら、とってもぼくには堪えられない。
トイレットペーパーがひどいもので、痔もちのろくでなし子さんは、痔が悪化してしまったそうだ。
男と女って、半分ずつ存在するのに、警察署の女性の留置所って、「湾岸署」「原宿署」「西が丘分室」と、都内に3ヶ所しかないとは驚きだ。
女性の犯罪者って、男に比べて少ないということか。留置所での生活が、イラスト入りでくわしく書かれている。
同じワイセツ物陳列罪なのに、ぼくは手錠などかけられたりしたことはない。警察って反抗的な人間にはつらく当たる。素直にあやまってしまえば、罰金だけですんでしまうのだが。
しかし、ろくでなし子さんのように、権力に抵抗する人がいないと、世の中、いつまでも変わらない。
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