シモキタは、どんな街になっていくのか!
『シモキタらしさのDNA=「暮らしたい訪れたい」まちの未来をひらく』が刊行された。
帯には「下北沢の何がそんなに人を惹きつけるのか? このまちに献身したジャーナリストと、まちの良さを守るために立ち上がった建築家が読み解く下北沢のいままでとこれから、その磁力の秘密」とあるが、このキャッチフレーズは何年も前の下北沢のことで、残念ながら今の下北沢には当てはまらない。
献身したというジャーナリストの高橋ユリカさんとは、一昨年、カフエ「つゆ艸」のカウンターにとなりあわせて、おしゃべりしたことがあった。
偶然にもぼくが住んでいるマンションのとなりの同じ大家さんのマンションに住んでいるということだった。
高橋ユリカさんは、文化出版局を経てフリーのライターとして活躍してこられたが、長年の闘病生活の後、2014年8月に逝去されている。この本の完成を見ずに亡くなられてしまった。
小林正美さんという建築家と組んで、この本に心血を注いでこられたのだろう。小さなお店の写真まで入れて、すみからすみまで下北沢の街を調べあげている。
先日、毎週必ず観るようにしている、テレビ東京の村上龍さん司会の「カンブリア宮殿」に、東急電鉄の社長の野本弘文さんが登場していた。
大きな企業のトップの存在は、社長の力量で決まると言っていいだろう。ぼくは東急バスの車庫のある「淡島」という停留所のすぐそばに住んでいる。以前は下北沢の駅の近くに住んでいたので、新宿や、渋谷に出ることが多かったが、今は若林折返所と渋谷を結ぶバスで渋谷へ出ることが多くなっている。渋谷行きのバスは、3分おきくらいで運行されている。小田急バスも経堂から渋谷に行くバスがあるが、10分おきぐらいだ。
渋谷の街は、今や東急天国だ。西武デパートが、「不思議大好き」なんていうキャッチフレーズで元気な時代があり、パルコを何店も出していた頃はよかったが、今はその面影もない。
野本社長は東急系列の赤字会社を数年で黒字化して、何年か前に東急電鉄の社長になられたようだ。
今、渋谷は大きく変わろうとしている。高層ビルが立ち並び、その屋上に展望台を作り、東京の街が一望できるようにして、渋谷の名所にするようだ。
野本社長は人口が減っていく東京を見据えている。電車に乗る人が少なくなるのは当然だが、魅力のある街にすれば、月に一回しか出てこない人も、月に何回も訪れるようにすれば、人口が減っても気にならない。
東急沿線に住んでいる人は、こんな偉大な社長がいるのだから幸せだ。小田急電鉄の社長、京王電鉄の社長って、どんな人なのだろう。下北沢の街の将来を考えてくれているのか。まったく顔が見えない。
下北沢の駅を地下深く潜らしてしまったのは失敗だったと街の古老は言う。電車から街が見えないと、街が発展しないのだと。
小田急線から、京王線に乗り換えるのは、長いエスカレーターに何度も乗り換えなければならない。若い人はなんでもないだろうが年寄りには苦痛だ。
若者が住みたい街の一位だったこともある下北沢も、今は、10位にも入らない。商店街もチェーン店ばかりになって、個人商店は家賃が高いので、どんどんつぶれている。
83年も下北沢に住んでいるぼくから見ると、しょぼくれた街になっていくように見える。
下北沢はこれからどんな街になっていくのか?
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