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2015年11月 9日 (月)

愛がなくても、ひとりの人間として!

 30年も前の日本のゲイたちは、女性と結婚しないわけにいかなかった。「わが妻、それは哀妻?」という告白手記が1985年5月号に載っている。群馬県の田丸勲さんからのものだ。
 
「定年を一年後にひかえた今、私は悩んでいる。退職したら家庭にひっこんでしまうことになる。あの妻と毎日顔を合わせて生活しなければならないのだ。それを思っただけでもぞっとする。職についている現在は単身赴任なのだ。ずっとそうであった。私の場合は単身赴任万々歳であったのだ。
 
 結婚式の夜、いわゆる初夜、私はそのことを思いおびえた。やっぱりできなかった。「今日は気疲れが大きいからね」と、あっさりと思いやりの態度を妻は示してくれた。横に女が寝ているというだけで私は嫌悪感を感じ、体の片側、女の方の側がモゾモゾと気持ち悪く眠れなかった。
 
 それから夜の来るのが怖くて、嫌で夕方になると胃の痛みを覚えるようになった。毎晩試みてみるが、どうしてもできなかった。
 そしてまる一年半、なんとかかんとか、疲れてるのだとかごまかして日が過ぎた。そのころは妻も積極的になり、寝床の中で私に抱きついたり、キスしたり、正常な夫婦なら当然のことだが、私には嫌でたまらず、まるで動物に抱きつかれているような不快感、身の毛もよだつような不快感……。ぞっとしてジンマシンでも出そうな感触であった。それをじっと耐えた。
 
 二年目、ふと暗くして、横に寝ているのは嫌な妻ではなく、あのかわいいタカシ少年(当時、私は中三のタカシを愛していた)だと思おうと、名案が浮かんだのだ。それが成功した。
 あのタカシの顔を思い浮かべ、タカシと抱き合った時のことを想起し、タカシの中三のくせにもう大人並みのあれを思い……。そうしたらなんと、あの嫌な妻という女性とのセックスが成功したのだ。
 
 それからいつも夜は部屋を暗くし、タカシを頭に描いて、タカシと寝ているのだと思い込み、空想の世界で過ごすことにした。
 妻の喜びはひとしおであった。でも、一週間に一回ぐらいであった。
 
 十年過ぎ、二十年過ぎたころ、年齢も四十歳を越すと、回数もへり、今はまったくセックスはない。妻もあきらめているようだ。
 やはり私はこの哀妻を捨てるわけにはいかぬ。なんといってもよく尽くしてくれた妻である。出来の良い女房であった。捨てたらバチが当たるだろう。私が胃の手術をしたときも、本当に献身的によく看病してくれた。
 また、いつ病気にならないとも限らない。歳を取ればなおさら助け合う相手が必要だ。愛がなくても、セックスがなくてもやはりこの妻は私にとって必要な人間である。もう女性とは思うまい。ひとりの人間として尊敬の念をもって同居しよう。
 
 そのことが、この女性にとっても大切なことなのだ。私のホモ性はどうなる? そこがつらいところだ。やはり妻に隠れて、妻にみつからないように、そっと、ほんとにひっそりと、どこかで楽しむよりほかに方法がないだろう。
 
 もう少年を連れて、山や海へも行けない。少年を泊まらせることもできない。少年を抱きしめることもできない。もう少年のオチンチンを触ったり、オナニーをしてやったり、フェラチオしてやったりもできない。
 つらいなあ。離婚する勇気がなければ、仕方がないじゃないか。」
 
 この時代は、こういう夫婦が多かった。その頃の女性は処女で結婚したら、セックスの回数が少なくても、そんなものだと思っていた。子供さんもいたし、お互いに辛抱強かった。

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コメント

当時は色々あったのでしょうが、今の世の風潮なら、無理に違うセクシャリティ同志で結婚をすることもなく、不幸な妻も、苦しい夫も生まれなくていいのかもしれません。
この方の場合では、ある一面では人間的な尊敬を抱き、互いにとって必要な、セイを越えた関係を築けたのは幸いと思います。
考えられる話です。ひっそり楽しむくらいなら、きっと互いに離婚した方がいい気がします。別れることが再スタートでもいい時代なのではないかと。
「ついたて」で区切ったような区別をして、あれは違うそれも違うと憤る人も多い昨今、いろんな性が自然に在るといいなぁと思います。いち感想です。

投稿: | 2015年11月14日 (土) 10時42分

ゲイ界隈では、これが美譚として扱われません。
ご安心ください。

商売として本を売らねばならない、ゲイでない伊藤さんの妄想・夢想による願望での拡大解釈です。
ゲイでない伊藤さんに、ゲイの人が本当に思っていることを代弁することは不可能と思います。その結果、うわべだけの誤った理解で、ゲイでない人々に今回のような誤解を広めることがあります。

投稿: | 2015年11月13日 (金) 21時49分

女性と形式的に結婚したゲイ男性の本心の愛情対象は、成人男性が多数派です。少年ではありません。
雑誌の薔薇族で大成功した伊藤さんは、次の少数派向け商品の対象をさがしていたのでしょう。それで、間違えた判断をしたのでしょう。

投稿: | 2015年11月13日 (金) 06時10分

少年愛が多かったというのは、伊藤さんの誤解です。
伊藤さんの出版ビジネス上の、こういうマーケットがあってほしいという願望での思い込みです。

投稿: | 2015年11月13日 (金) 05時04分

ゲイ界隈については、伊藤さんは理解してないはずです。ビジネスとして、本を出版をしていたわけですから。
女性愛の伊藤さんには、年少者への行為の現在の犯罪性が、少女を対象に考えると良く理解できると思います。

投稿: | 2015年11月13日 (金) 04時55分

 伊藤さんは、ノンケの82歳の老人であり、その感性で、当時の少年愛をプラトニックラブの延長のように誤解してますが、現在、行為そのものは違法です。 
 当時、伊藤さんは、ゲイ雑誌の次のニッチな愛の雑誌のテーマとして開拓しようとしてたのではないかと思います。

投稿: | 2015年11月13日 (金) 04時38分

少年!?
ゲイ界隈では、これが美譚として扱われるのか・・・。


私はロリコンです。幼い女の子を愛しく感じます。
こんな私が、仕方なく成人女性と結婚して、毎夜の営みに苦しみながらも

” もう幼女を連れて、山や海へも行けない。幼女を泊まらせることもできない。幼女を抱きしめることもできない。もう幼女のオマンコを触ったり、ローターをあててやったり、クンニリングスしてやったりもできない。”

なんて書いても受け入れていただけるのでしょうか?
そんなことを許していただけるのでしょうか?

投稿: | 2015年11月12日 (木) 15時40分

伊藤さん、回答を有難うございました。

私の最初のコメントの文章に脱字が有りましたので、訂正致します。

 ( 秘密の努力して  訂正→  秘密の努力をして )

読み難くて、失礼致しました。  

投稿: 一番下の最初のコメントの投稿者 | 2015年11月10日 (火) 07時51分

コメントしてくれてありがとう。今の時代、普通の夫婦でも嫌なことがあるとすぐに別れてしまう。自分の性癖を隠して結婚した人の方が長続きしているかも知れない。隠すことに良心の呵責を感じるかも知れないが、カミングアウトして受け入れられる相手がはたしてどれだけいるだろう。隠したまま敬愛する家族として一緒に暮らす方がお互いに幸せなのでは。
 ぼくは女房に隠し事をしているわけではないが、ぼくの女房は男っぽい女なので長続きしたのかも。性格が違うのが良かったのか。
難しい問題だ。

投稿: 伊藤文学 | 2015年11月 9日 (月) 17時00分

30年前だけでなく、現在でもあると思います。
一方側だけが、自分ひとりだけの秘密として、必要にせまられて、やむなく結婚して、秘密の努力してなりたっている生活と思います。

相手側の気持ちを考えた場合。
伊藤さんにあてはめた逆のパターンで考えると、もし伊藤さんの奥さんが精神的には男性だったとしたら、伊藤さんはどのように思うかを知りたいです。
逆パターンでも、参考になります。

これらとは別のケースが、以前、雑誌「薔薇族」が仲介していたことでもありますが、男女の双方が性同一性障害で、お互い納得して形式結婚した場合です。これは、一部を除いて、結果的にうまくいかなかったケースが大部分だったようです。相手の行動が演技であることは、常にお互いがわかっています。特に第三者の前や、子供を作った場合の子供の前で、男親や女親の演技をしていることを、お互いにわかっているのが嫌になるのではないだろうか。


したがって、昔も今も、自分ひとりだけの秘密の努力して一方側だけからの形式結婚がなりたっているのでしょう。そして、女性の性同一性障害の場合にくらべ、下半身の構造上、精神的嫌悪感以上の肉体的努力も必要なのでしょう。
あるゲイバーのマスターが言ってました、『みんな、努力して、その生活をしている』

投稿: | 2015年11月 9日 (月) 02時08分

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