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2016年5月23日 (月)

みんな忘れてしまっているけれど!

 エイズがアメリカから日本に入ってくるというので、日本中がおののいていたころの話だ。
 23歳の大学生からの手紙を『薔薇族』に載せた時の反響は大きかった。しばらくぶりに新潟の弥彦村の別荘に行き、積み重ねたダンボールの中から、その手紙を見つけ出した。
 
「僕は大学4年生で、今年、社会人になる予定です。しかし、今日、エイズのキャリアと分かりました。というのは社会人になる前にすべての検査を受けておこうと思って、性病の検査と一緒にエイズ検査をしたら、陽性とわかりました。
 
 今まで若さと、ちょっと顔の良さで、遊び歩いていた罰が出てしまった。最初にどうしてこの僕が、こんなだいそれたものに感染したかを話します。
 
 僕がこの世界を覚えたのは、高校の2年生からだ。少し顔がジャニーズ顔に似ているということで、2丁目でよくモテたので、少しかっこいいやつとなら誰とでも寝る男でした。
 今までにもう200人ぐらいの男と寝ていると思う。週末にはよく2丁目にも出ていたし、ホテルやその手のサウナにもよく行った。
 
 ここ数年は伝言ダイヤルを聞いたり、いれたりもしていた。どんなセックスをするかというと、バックを中心に握ったり、掘られたり、しゃぶったりするセックスでした。しかし、外人とはセックスしていません。すべて日本人だけだ。
 僕はこの東京にいるほんの身近の人から移されたということだ。この病気は目の前のことであるということだ。ぜひ検査を受けてください。いまとなりで呑んでいるカッコいいやつは、実はエイズのキャリアかもしれないと。
 
 僕はまだ23歳だ。まだまだやりたいことがいっぱいある。セックスもしたい。でもエイズだからセックスするなんて、もうできない。若いから性的処理はどうすればいいの?
 今はショックで少し頭が混乱している。これからの僕みたいなエイズキャリアの男は、どんな生活を送ったらいいのだろうか?
 
 医者からは「規則正しい生活と、十分な睡眠と、野菜を多く食べなさい」と言われました。僕の知りたいのは、そんなことではなく、一度、男の世界を知ってしまった男が、しかもあれだけ遊んでいた男が、すべて性欲を失くすなんてことができるのだろうか。
 僕はこのままだったら、また数日したら、サウナかなんかに行ってしまいそうな気持ちだ。だってなんかやりきれない気持ちというのか、モヤモヤした気持ちというのか、今、とても変な気持ちだ。
 かといって誰かれとなく伝染させてしまおうなんて思ってはいません。だってそんなことをしたら、立派な犯罪だ。
 
 とにかく変なことをずらずらと書いてしまったけど、僕の知りたいことは、とりあえず僕は、これからどのように生きていけばいいのかということを知りたい。
 僕は一生懸命に、このエイズとともに、逃げないでがんばっていくつもりだ。僕みたいな奴がきっとこの世界にいるはずだ。一緒に頑張って生きていこうと伝えたい気分だ。」
 
 郵便局の消印を見ると、1992年とあるから、今から24年前の話だ。この手紙を誌上で紹介したら、その反響は大きかった。
 今はマスコミもエイズのことは、まったくとりあげないが、いったん流行してしまった性病はなくなるということはない。
 医学も進んでいるから、感染したとしても病気が悪化しないようにする薬はあるようだ。しかし、一生飲み続けなければならない。
 エイズという病気は、静かに静かに、日本中に広まっているに違いない。感染しないように注意することが必要だ。

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