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2016年6月20日 (月)

泣きながら、亭主がホモだと!

 『薔薇族』を創刊して5年めのことだから、1970年代のことだ。
 
 「泣きながら、自分の亭主がホモだということを訴えてきた奥さんがいた。それにしてもご亭主たちはうまくやっているのか、奥さんの側から直接訴えを聞くということは、今まで一度もなかった。
 
 ある奥さんから電話がかかってきた。ご主人が大事に押入の奥深くに、ダンボールの箱のなかに入れてある『薔薇族』や、写真集などを偶然にも見つけ出してしまったという。
 小さな子供が二人いる、30歳ぐらいの奥さんだった。ご亭主は教職にあるということだ。その奥さんと電話で長いこと話し合った。子どもが遊んでいる声が受話器の向こうから聞こえている。
 
 ぼくは絶対に別れるなんていってはいけないということ、子供にとって両親が仲良くしていることが、一番幸せなんだということを力説した。そして、ご亭主はあなたをだまして結婚したのではないということも。
 
 日本テレビの「お昼のワイドショウ」で、「夫の秘密を見た! もう愛せない私、30歳」という、電話の奥さんによく似たケースの話がもちこまれて、ぼくも出演して話をすることになった。
 青島幸男、中山千夏、古今亭志ん馬、八代英太の司会で、討論は作家の寺内大吉氏と、下重暁子さん、それに弁護士の丸山雅也氏、映画評論家の小森和子さん、増田豊さんも加わった。(そうそうたる人たちだが、すでにこの世にいない人が多い)
 
 「夫は本当に女性が好きじゃないのに、私と結婚したのは、自分をカクレミノに使ったんじゃないか」というのが奥さんの言い分だった。ご主人を問い詰めれば離婚に追い込まれるだろうし、秘密を知ってしまって、それを自分の胸の中にしまっておくということは苦しいことだろう。
 大方の意見は、別れたほうがいいということだった。
 
 ぼくに電話をかけてきた奥さんもテレビを見たようだ。あくる日、奥さんから電話がかかってきた。ぜひぼくと会いたいという。
 ちょうど、横浜のポルノショップに『薔薇族』を届ける用があったので、そのお店の前に来てもらうことにした。
 本を車からおろしていると、奥さんがやってきた。お店の親父さんが、けげんそうな顔をしているので、にやっとしたら、さも分かったように、親父さんもにやっとした。
 
 30歳そこそこだというのに、ちょっとふけた感じの女性だった。それになによりも気になったのは、顔にケンがあることだ。欲求不満が顔にあらわれている。
 にこっと笑ったときに、とってもかわいい顔をする。海が見える丘の上の公園で話を聞いた。まるっきりのお嬢さん育ちで、ご主人が初めてだという奥さんにとって、性生活ってそんなものだと思っていたそうだ。
 ホルモンのバランスが崩れて入院したこともあったそうだが、自然の摂理の不思議さを感じずにはいられなかった。
 
 トイレの中に『薔薇族』をもちこんで読んでいるというご亭主。電気をつけずに、真っ暗ななかでしか、セックスをしないという。
 10年間の結婚生活の中で、一度も満足したことがなかったという奥さんの言葉に、自然にきざまれたであろう眉間のしわの深さを感じずにはいられなかった。
 もう知ってしまったのだから、本当のことをご亭主がうちあけてほしい。だからといって嫌いになってしまうことはないと思うから。
 そういう奥さんは、ご亭主のことを理解してくれたようだ。」
 
 奥さんの方からの訴えは、ぼくにとってはつらいことだった。ご亭主の味方にならなければならない立場だから……。

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コメント

 薔薇族では「ホモ」という言葉を多用していましたが、外国は悪い意味の言葉(精神病)として使われた過去を改める為、「ゲイ」という言葉に切り替えようとしたようですよ。

投稿: | 2016年6月23日 (木) 22時24分

 ご主人の男性は、奥さんをカクレミノの使うつもりは更々なかったと思いますよ。見合い結婚を設定されたなどで、まわりから追い詰められた結果の結婚だと思います。それでも、お子さんが二人いるのは、男性が努力した結果だと思います。例のあの時は、見たくないから部屋を暗くするとは皆言いますし、そもそも、いやな事を努力しているのです。男性側の正解は、自分の本心に正直になることだと思いますが、これにはあらゆる困難があります。

投稿: | 2016年6月23日 (木) 06時04分

 こういう記事を読んでいると日本におけるLGTBQコミュニティの閉鎖性をとても残念に思います。最近おこったオーランドの事件を見ると、海外(米国)でもLGTBQに対する偏見は日本以上です、ただ、事件後のコミュニティ(と周辺の人々)の対応(心のケアから葬式のバックアップ等)は迅速でした。
 私はオーランドの南の町(フォートローダデール)にコンドミニアムを持っている日本人です。この町のLGTBQコミュニティは異常かもしれませんが、市のバックアップを取り付け、毎日の様に色々なイベントを開いてコミュニティの向上に努力しています。LGTBQの人々が政治経済で大きな力をもっているからだと思います?
 日本から来たゲイの人を見てもこの町の人とあまり変わらない様に見えますが、日本の中にこの様な場所(街)ができることができるようになるのでしょうかね?

投稿: アメリカの住人 | 2016年6月20日 (月) 21時30分

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