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2016年12月24日 (土)

三島由紀夫原作「愛の処刑」の映画を!

2016年12月18日(日)下北沢南口のブックカフェ「B &B 」で、15時から「「愛の処刑」上映&禁断のトークイベント」が、開催された。
 
1960年に神山保のペンネームで、地下出版の「アドニス」の別冊「APOLLO」(新書判ぐらいの大きさで、3人の作家の短編小説が掲載されている。僕の手元にあったが、現在は早稲田大学の図書館の特別な部屋に保存されている。)に、三島由紀夫の作ではないかと、噂された作品だ。
 
1973年(昭和48年)の『薔薇族』5月号に「愛の処刑」を載せている。43年も前のことだ。
 
『薔薇族』の良き相棒だった藤田竜君が、作品の解説をしている。
 
「執筆の動機になったと思われる切腹への執着は、時を同じくして発表された「憂国」に共通しており、新かなづかい(最後の「をはり」は気が緩んだせいか)や、いつもの華麗な文章のないことなどが、かえって三島氏ではないかと思わしめる。
 
実際にこれが三島氏の筆になるものだとしても、真実を知るのは、生の原稿を受け取った人だけであり、その人が真実を言うわけがないから、「愛の処刑」は「幻の作品」ということになる。」
 
生の原稿を受け取ったのは「アドニス」の編集長だった、作家の中井英夫さんで、この方のちに「短歌研究」の編集をされていたことがあり、寺山修司君を世に送り出した方だ。
中井英夫さんは、1983年(昭和58年)に亡くなられている。
 
監督の野上正義さんと、ぼくとの出会いは全く記憶にない。「野上組スケジュール表」が「愛の処刑」の台本の間に挟み込まれている。それによると、9月9日AM7時、新宿駅前、安田生命前に集合とあるが、年号が書かれていないが、おそらく1983年(昭和58年)だろう。
 
撮影場所は千葉県勝浦の漁師町に残っていた、かなり古い網元の家。そこを借りられたことがこの映画の重みを生み出したのだ。9月10日の夜に帰京とあるから、4日間で1時間ものの映画を作り出したことになる。
 
脚本は吉本昌弘、撮影・伊藤英男、照明・石部肇。カメラマンの伊藤さんと、照明の石部さんは、映画の全盛時代に活躍された有名な方だそうだ。
 
高校の体育教師を演じられた方は、筋肉隆々で、適役だった。高校生の役の少年は、どうかなと思っていたが、意外と良かった。
 
「B&B」満席の50名の集まってくれた方々も、感動して見てくれた。映画が終わってからの鈴木邦男さんと、ぼくとのトークは、どうだったのか。熱心に聞いてくれたのだから、良かったのだろう。
 
日本で最初のゲイ映画を作り出したことをぼくは誇りに思っている。三島さんがこの映画を観ても、喜んでくれたに違いない。
 
この後に作られた「憂国」、ツール映画祭で受賞され、映画評論家たちに絶賛されたが、SM雑誌「風俗奇譚」に、『薔薇族』でしばりのイラストや小説を寄稿された大川辰次さんが酷評してしまった。
 
大川さんが三島さんと出会った時のことを『薔薇族』に寄せてくれた。
 
「プロの劇評家は金次第で何とでも書きますが、私がほしいのは貴君のような方の批評です。もっと聞かせて欲しいと思い編集長に頼んだのです」と。
 
三島さんは大川さんを料亭に招いて話を聞いてくれた。「今度制作する時は、ぜひスタッフに加わって欲しい。そして今後はあなたを親爺と呼ばせてくれ」と。いい話ではないか。
 
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「愛の処刑」の撮影現場

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コメント

本日とある映画館にて『愛の処刑』を拝見しました。
とても面白かったです。ラストの切腹は「幸福な死」そのもので感動しました。

割腹自殺する物語は一見グロテスクで憂鬱で「死」の不気味なテーマですが、その「死」こそが一種の「性」と「美」であり、
愛する質実剛健な教師の潔い最期、愛する美少年の教え子の望みなら肉体的な苦痛さえ精神的な快楽になり、
私は切腹フェチではありませんが、切腹を欲する教師と教え子の心理がどことなく理解できました。
この映画は原作と物語に差異があるようで、教師の切腹後の教え子の行動は映画の方が感慨深いです。

いまだにポルノ映画館のみで上映というのはもったいない……。

投稿: | 2017年3月 8日 (水) 20時43分

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