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2017年3月20日 (月)

「個人情報」なんて規制がなかったら!

ぼくは朝日新聞のおかげでいい仕事を残すことができた。
 
昭和36年12月(1961年)末の妹、紀子が、突然の心臓発作で倒れ、昭和37年8月9日に、東京女子医大の心臓病棟401号室(6人部屋)に入院することになった。
 
病院の都合で手術の予定日が何度も延期されて、妹はやけくそになっていた。
 
そんな妹を見かねて、ぼくは朝日新聞の読者の投稿欄「読者のひろば」に、「妹に激励の手紙を」のタイトルで投稿した。
 
それが数日後「読者のひろば」のトップに載ったではないか。
 
これが載らなければ『ぼくどうして涙がでるの』の本も生まれなかったし、日活の映画化もなかっただろう。
 
これがぼくの心臓病との闘いのきっかけになった。
 
 
 
「個人情報」なる規制がまったく無い、いい時代だった。
 
投稿には我が家の住所、病室の住所、部屋番号まで書いてあったのだから、今ではありえないことだ。
 
昭和48年12月20日、妹は2人の男の子を残して32歳で、2度目の手術の甲斐なく亡くなった。
 
その死を朝日新聞は、社会面のトップで大きく報じてくれた。
 
「心臓病の子供を守る会」発足のきっかけを作り、保険で手術の費用がまかなえることにもなった。
 
 
 
それからぼくの仕事は同性愛の人たちへ目を向けることになっていった。
 
ぼくが弱い立場の人たちのためにはたらくのは、大正時代に吉原や洲崎の遊郭に、貧しいがために親に売られたお女郎さんを救い出す仕事をしていた祖父の伊東冨士雄の血を、受け継いでいるからかもしれない。
 
それと、岩手の山奥で育った母の辛抱強さも受け継いだのだろう。
 
 
 
朝日新聞の社会部の小泉信一さん。
 
この人が朝日の記者か、と思うぐらいラフな感じの人だ。
 
20数年前、新宿2丁目のことを記事にした時、朝日が初めて『薔薇族』のことを書いてくれた時の記者だ。
 
 
 
13年前、『薔薇族』が、382号で廃刊を余儀なくされたとき、小泉さんにだけ電話をかけた。
 
小泉さんが書いた『薔薇族』廃刊の記事の反響はすさまじかった。
 
週刊朝日も、ぼくのことを記事にしてくれたが、しばらくぶりに電話がかかってきた。
 
 
 
『薔薇族』は廃刊になってしまったが、その後「伊藤文学のひとりごと」のタイトルでブログを書き続けていることに、小泉さんは興味を持ってくれて、朝日朝刊の「ひと」というコーナーに取り上げてくれることになった。
 
 
 
ぼくが毎日のように買い物に行くたびに立ち寄るカフエ「織部」で取材を受けた。
 
シャツは古着で買ったものばかりだが、写真に写っているカーディガンは、イタリア製で30年も前に二子玉川の高島屋で、10数万円もしたものだ。
 
裏地は絹で少し破れているが、ずっと愛用している。
 
 
 
「ひと」は、2017年3月6日の朝刊に載った。
 
ぼくは薔薇族の取材を受けるときは笑顔をしたことはない。
 
それは今でも「気持ち悪い」と差別の目で同性愛の人のことを見ている人が多いからだ。
 
笑顔は見せられない。
 
 
 
「ひと」は全国版なので多くの人が見てくれただろう。
 
奇跡ってあるものだ。
 
妹が心臓手術で入院していた心臓病棟の401号室、その部屋で妹や、亡くなった芳っちゃんと同室で苦楽を共にした、名古屋に住む女性(80歳)と、ネットでつながったのだ。
 
 
 
新聞社に電話したら「教えられない」と断られ、ネットでぼくのブログにたどり着いて、ぼくの友人が経営する銀座の「まじかな」で、ぼくが3月24日の夜、85歳の誕生を祝う会のことを載せていた。
 
それで中嶌君に電話をかけて、ぼくの電話番号を教えてもらったということだ。
 
Nさん、外出して夕方に帰宅して新聞を見たそうだ。
 
昼間だったら「まじかな」は、留守電だ。
 
なにしろ54年も前に、妹と同室だったNさん、大学の教授だった。
 
ご主人は3年も前に他界して、2人の子供さんは独立しているそうだ。
 
 
 
こんなことってあるのだろうか。
 
感激した声が震えてしまった。
 
長生きしていて良かった。
 
Hito_2

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