山川純一作品の劇画よ、永遠なれ!
『ウホッ!!いい男たち2 ヤマジュン未発表作品』(2009年11月20日発行。(株)復刊ドットコム刊・やらないかバンダナ付き・定価3675・本体3500円・5%税込)
もう刊行されて8年になるとは。消費税が5%の時代だった。
『ウホッ!!いい男たち・ヤマジュンパーフェクト」(復刊ドットコム刊・定価本体4800円+税)574ページでの値段だから高くはないのだろう。若い人たちがこんな高い本をよく買ってくれたものだと、今さらながらにヤマジュン劇画の魅力と人気の続いていることには驚かされる。
2003年に初版を刊行したのだから、なんと14年にもなる。
ヤマジュンの未発表作品は4作だ。
顔が長い、髪の毛が長いということだけで『薔薇族』スタッフ、と言っても2人だけだが、「載せるな!」と、あまりうるさく言うものだから、載せるのをやめてしまった。
ヤマジュンはぼくが支払う原稿料だけで生活しているのだから、止めてしまったら生活できない。
こんなに辛いことはなかった。彼に死ねと言うのに等しい。載せなくなっても作品を持ってくれば、原稿料をあげていた。
彼にしては耐えられなかったのだろう。ぷっつりと現れなくなってしまった。
未発表の4作品、それと1作を加えて刊行したのが『ウホッ!!いい男たち2』だ。
バンダナ付きとはいえ、100ページにも満たない本が、3500円とは、ちょっと高いのでは。
印刷製本はシナノ書籍印刷株式会社とある。
戦時中、大本営も長野県に移るということで、巨大な地下壕を掘ったそうだ。
その頃、空襲を逃れて、印刷会社も長野に工場を移したという話を聞いたことがある。
シナノ書籍印刷という会社、印刷製本を安く作るということで有名な会社だそうだ。
本の奥付を見ると、この会社の名をよく見かける。部数が少ない自費出版の歌集まで作っている。
東京よりは人件費も安いのだろうが、かなり大きな工場を持っている会社に違いない。
今の時代、何もかもネットで事足りてしまうのだから、活字を1本、1本ひろって組んでいた時代に出版の仕事をしていた人間には想像がつかない。
話が脱線してしまったが、4作品をしばらくぶりに読んでみたが、発想がすごい。
1作目の「絆」は、緋堂組というヤクザの世界を描いている。
「くどいぞ! 俺は2代目として親父のかたきをとらねばならんのだ」
「殴りこみは予定通り決行する!」
「関竜組に殴り込みましょう! が、その前に若にある儀式を行ってほしいのです」
若には大学生の男がいる。
「何の若のためなら秀も喜んで抱かれまする。
その真珠入りの巨根を思い切り使いなすって」
それからの2人のセックスシーンが派手に。
兄弟でがっちりと手を組んで殴りこみに。それが「絆」だ。
2作目は「義父」。
出産のために妻が実家に帰っている。
東京の出張の帰りに俺の様子を見てきてくれと、妻に頼まれての訪問。
その義父とのセックス。
「君のことは前から可愛くて仕方なかったのだが、してはいけないことだった、あんなことは」
3作目は「ショーボーイ」 同棲相手のとおるとのセックスをお金を取って、オッサンたちに見せるという話。話の展開が面白い。
4作目は「疾走する獣たち」 暴走族の話だ。
しばらくぶりに山川純一作品を読んでみたが、長い間、若者たちに愛されているのが、よくわかる。
これからも愛され続けるだろう!
| 固定リンク
コメント