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2017年11月 4日 (土)

海軍の裏面史の貴重な記録!

『薔薇族』は1971年の創刊なので、終戦になって軍隊から戻ってきた人たちが、軍隊生活のことを投稿してくれている。これは貴重な体験記なので、記録として残しておきたいものだ。ただ長文なので全部を載せるわけにはいかない。1982年の11月号に載った海野武男さんの海軍時代の体験記だ。
 
A
 
「戦時中に海軍に籍を置いた者に、軍隊生活の中で一番嫌であったことは何かと問えば、たいていの者は甲板整列と答えるだろう。
 
これは巡検(陸軍ならば、就床前の点呼のこと)のあとで兵隊たちが甲板上に整列させられて、その日の課業に対する励み方が充分でなかったことを理由にして、長々とお説教を聞かされたうえ、最後に下士官に活を入れらることである。
 
活の入れ方はいろいろあるが、平手あるいは拳による頬打ちが普通で、その他に樫の棒による肘打ちや、長時間の前へ支え(腕立て伏せのこと)などもよく行われた。
 
多くの場合、下士官によって殴られるのであるが、兵長が代行するときもある。疲れきった体を横にさせてもらう前に、足を開いて歯を食いしばって、一瞬気を失うほどの打擲に耐えねばならなかったことは、兵隊にとって最も辛いことであった。
 
 
 
さて、海軍生活の中で、その次に嫌なものは何であったかと聞かれれば、私は即座に月例検査と答えるだろう。これは毎月1回定期的に行われる健康診断のことであるが、主たる目的は性病の検診である。それに付随して、皮膚病の点検なども行われる。
 
「明日、月例検査を行う」と知らされた日の夕刻は、どの入浴場も大変な混雑である。明日のM検に備えて陰部を清潔にしておくため、全員が必ず入浴するからである。
 
どの兵隊も洗い場に包皮をめくってよく洗っている。なかには勃起してしまう者もいるが、みな比較的無関心に見過ごしている。まれにひょうきんな兵隊が、ふくらんでいる自分の陰茎を周囲の者に見せびらかしている場面もある。(中略)
 
 
 
「受診用意」の号令がかかると、一斉に立ち上がり、越中ふんどしをとって衣類の上に起き、全裸となって医務室左側の入口の前にタテの一列を作る。
 
長い列となるので控室の隅をぐるりとコの字型に囲んで、最後部の者は医務室右側の出口の付近に並んでいる。
 
お互いに性器丸見えである。中には平気で一向に気にしない者もいるが、程度の差こそあれ、なんとなく人の持ち物の形や、大小が気になって、それとなく観察している者もいる。
 
初めての月例検査のときなどは、恥ずかしさのあまり、あらかじめ渡されて手に持っている自分の検査表で、人に見えにくいように陰部を隠す者もいた。それをみつけた衛生下士官は、その者を指さしながら「前を隠すな! しゃばっけを出すな」と、怒鳴りつけた。
 
みんな一斉にそちらを見た。その兵隊は顔を真っ赤にしながら、前を覆っていた手をはずした。普通の性器であったが、包茎で陰毛が少なめであった。(中略)
 
今の若い人の陰茎の長さは、平均13.5cmぐらいと聞いている。戦時中の日本人は背も低く、確か平均が、12.5cmぐらいであったと記憶している。大きさや形状はまったく千差万別で、私は自分の粗チンに対して劣等感を持っていたが、あまり気にしなくなって入浴も手ぬぐいで前を隠すことはしなくなった。」
 
 
 
12ページにおよぶ体験記で、よくまあ観察したものだ。軍隊の裏面史で貴重な記録だ。

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コメント

はじめまして♀です。腐貴婦人で~す。(年配の腐女子の事を腐貴婦人というそうです。)
先の大戦中の、旧軍に関する体験談は非常に貴重な文献だと思います。というのはあと10年ぐらいで、あの戦争を体験している方々が、いなくなってしまうからです。
研究したり、体験談を聞いたり、体験談などを集めるのなら今しかないと思いますよ。
個人的に:戦時下における性的マイノリティーについて:
研究をしています。
最近、BLボーイズラブ系の作家たちで、日本の旧軍を扱った漫画や小説を描く方もいまして、同人誌ですが「軍隊と男色」という本が出ています。これは終戦直後に発売されたカストリ雑誌から、男性同性愛の体験談話を抜粋したものになりますが、かなりリアリティーがあって貴重な文壇になっていますね。
私がなんでこちらの方面に興味を持ったかと申しますと
私の父(故人)は15才で海軍に志願しまして、なにかの余興で女形を演じたら運の尽き、古参兵からゲイハラの嵐に遭遇、さわられるわ、見られるわ、ストーカーされるわ、そのうち戦友達にも飛び火して、とうとうお菓子付きのラブレターをもらう羽目に・・という体験談を聞いて興味をもちました。ちなみに父は色白なので上官から「シラユキ」くんというあだ名をつけられていました。
この話は私が女子高生の時、痴漢の話題でこの話が出てきて、父からの格言は「愛情はもらっておきなさい、痴漢はすぐに激対せよ!」と言われました。
今日いろいろなマスメディアで、LGBT問題の事を論じていますが、同性愛と性犯罪をいっしょにして考えている人が多くて、まだまだ誤解や偏見が多いな~と思うこの頃です。近い将来、男性同性愛をあつかった小説を書きたいと思っています。国際的にも有名になっている、日本の文化=BLボーイズラブは、よく実際のゲイ(男性同性愛)の世界とはちがうとか、現存のゲイの方からも言う方がいるんですが・・若い10代~20代の同性愛の男の子達は、けっこう愛読している人が多いです。その点、サブや薔薇族を愛読した年代の方々とは、趣向や考え方が少しちがいます。
同性婚の時代が到来しているのだな~と思います。

投稿: 夏の日の伯爵夫人 | 2017年11月 7日 (火) 11時50分

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