山川純一君に、ぼくのセーターを!
NHK名古屋局制作の『そして“カワイイ”が生まれた~内藤ルネ 光と影~』すごい人気だった。
「NHK東海地区の番組で、内藤ルネさんの特集。ちゃんと知ることがなかったので視聴。カワイイ少女たちの認知度が高いのですが、『薔薇族』の表紙まで手がけていたことを初めて知りました。
70年代、本屋で見かけた懐かしい、あの表紙を思い出します。」
「まさかNHKで『薔薇族』が出てくるとは思わなかった。」
民間放送では『薔薇族』の話で、いろんな番組に出させてもらったし、その前、50年ぐらい前かな、ぼくの末の妹が32歳で2人の子供を残して亡くなったが、朝日新聞の記事のおかげで、あらゆるマスコミが取り上げてくれ、最後はNHKでラジオドラマ、そして日活で昭和40年秋の芸術祭参加作品となり、妹の役を十朱幸代さん、ぼくの役を東大出身の俳優 佐藤英夫、『ぼくどうして涙が出るの』はヒットし、本はベストセラーになった。
内藤ルネさんが表紙絵を描いていた『薔薇族』を見たいという人が多かった。
1986年(今から32年前)の『薔薇族』№161・6月号、最後のページの「編集室から」小さな文字で2ページにわたって書いている。
山川純一君のことは、すべて書いてしまって、新しい発見はなかったが、びっくりするようなことが書いてあった。
「山川純一くんの劇画集も今月末に単行本として出版されます。
短髪好きの読者には、気に入られないかもしれないけれど、山川フアンの諸君には朗報です。
山川君は本当に地味な男で、このマンガだけで生活をしているのです。僕もなんとかしてあげたいと応援してきたので、うれしくてならないのです。
冬の寒い日に、いかにも彼の着ているものが寒そうなので、僕のセーターを何枚かあげたこともありました。
月に1作書き上げるために全力投球している山川君に声援を送ってほしいのです。
また山川君も単行本にまとめたことによって、はずみをつけて良い作品を書き続けてほしいのです。
『君にニャンニャン・チビバラ行進曲』定価600円、出版社はけいせい出版です。」
3冊もの単行本になったものの、けいせい出版は倒産、印税などもらえなかったのでは。
山川君にぼくのセーターを何枚かあげたことなんて、まったく忘れてしまっていたけど、ちょっといいことをしてたのだ。
この号を出すまえに胆石の手術で、関東中央病院に1ヶ月ほど入院していて、退院してわが家に帰ってきたころのようだ。
「今月号のように『薔薇族』には決まって、1作以上、感銘を受ける作品がのっていますね。
はじめて購入したときは、「千円、高いなあ〜」なんて思いましたが、最近ではちょっと安いかな……、いや、丁度いいのかなとも思えるのです。
不思議だな、というわけで今後とも千円でお願いします。
こないだの「11PM」で、ぼくは初めて伊藤文学さんを画面で見ることができました。
思っていたより体格のいい人でしたので、ちょっと驚き。
だって入院してると書いてあったから、痩せている人と思ったんだもん。」
復刊ドットコムがネットで、山川純一君の劇画を見れるようにしてくれている。
内藤ルネさん、山川純一君、いつまでも見てくれてる人がいるなんて、嬉しいことではないか。
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コメント
山川先生とのエピソード、すごく素敵です。
現在人との出会いが多様化し、通信回線上だけでの付き合いや、「ブロック」ひとつで繋がりを容易に断ち切れるこの情報社会において、私は疑念を抱きつつも、それらに甘んじています。
そんな中で、とある作品が架け橋となり、今も尚当人との思い出や繋がりがしっかりと生き続けていることが、このお優しい文面から伝わってきて、無性に泣きたくなりました。
人間関係という「情報」をいくらでも「削除」の出来る、形すら残らない即席な関係しかない私にも、こんな純粋で温かい繋がりを築くことが出来るのでしょうか。
そして、山川先生なら、この現代をどう描くのでしょうね。
投稿: 無名 | 2018年3月11日 (日) 00時11分