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2018年4月23日 (月)

「暗黒大陸への熱い視線」は過去のこと!

そろそろ先が見えてきているので、身辺の整理をし始めている。
 
書棚の中の本も、まともに読み終わった本はないが、いらないなと思ったら古本屋に運んでいる。
 
新書版で薄い本なので目にとまらなかったのか、自分で購入した覚えが全くない『邱永漢の「予見力」』という、2009年11月7日刊行の集英社新書で、玉村豊男さんという方の著書が目に留まった。
 
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邱さんが亡くなられた年は、2012年だ。
 
この本には、2009年、邱さん85歳の年譜までが載っている。
 
邱さんに出会ったのは、新宿の厚生年金会館(今はない)の手前にQフラットビル(7階建)の2階に美輪明宏さんが、クラブ「巴里」を開業し、そのあと、ぼくが「伊藤文学の談話室「祭」」をオープンさせたときのことだ。
 
1971年に『薔薇族』を創刊してから4、5年経った頃だと思うが、その時代はオイルショックの後の、日本が不景気な時代で、ビルの2階は通路の両側ともお店に貸すべく用意されていたが、借り手が全くなかった。
 
渋谷に邱さんがオーナーのシャンソン喫茶があって、そこでぼくの女房と一緒にお会いし、家賃などの交渉をしたのが最初だった。
 
玉村さんの本の帯に、にこやかな邱さんの写真と、「「株の神様」邱永漢が予見する中国ビジネスの近未来像・過去にこだわるより日本人も太っ腹になって新しいアジアの扉を開け」とあるが、その予見が当たり、中国や、アジアに日本の企業は進出している。
 
カフエ「織部」で読んだ日経新聞にはユニクロが国内の売り上げより、海外での売上が多くなっていると。
 
 
 
書きたいことはこれからだ。親しくなった邱さんには『薔薇族』を毎号送っていた。
 
創刊150号の記念号には、お金儲けの神様でもあり、直木賞作家でもある邱さんがお祝いの言葉を寄せている。
 
それは『薔薇族』とぼくへの予見で、見事に当たっていた。
 
「暗黒大陸への熱い視線」と題して。
 
 
 
「まだ社会的偏見に包まれているのは、同性愛と近親相関くらいなものですから、小説のテーマとして残された暗黒大陸といってよいかもしれません。私の仲間の小説家の中にもホモセックスを取り上げたいと、常々言っている人がいますが、いまだに実現していません。
 
ジャン・ジュネの『泥棒日記』から、デュヴェールの『薔薇日記』に至るまで、私もひととおりは目を通していますが、やたら衒学的だったり、やたら即物的だったりして、まだこれこそ傑作中の傑作だという作品には出会っていません。というのもホモセックスを、ごく普通の人間の恋愛感情として扱う人が少なく、ひどく誇張してみたり、あるいは自分は局外者だという立場を強調した作品に終始しているからです。
 
もう少し時間が経ったら、人間は男と女という性別だけで人間を見分けることをやめて、人間の心理の中にひそむMとWだけでなくて、M、Mとか、W、Wといった因子の複合体としての人間心理を分析するようになるだろうと、私は予想しています。
 
その時がきたら、ホモセックスも今よりもう少しは正当な位置づけが行われるようになるでしょう。そこに至るまでは、まだまだ多くの人々の心の中で、さまざまの葛藤が繰り返されるはずであり、伊藤文学さんに活躍してもらわなければならない修羅場もまだたくさん残っていると思います。」
 
 
 
邱さん、本当のことを言えずに書いた苦しい文章だ。
 
邱さん、もう少し生きていてほしかった。
 
日本のゲイたちも、ゲイの人たちを見る目も少しずつ変わってきましたよ。
ぼくも長生きして頑張ります。NHKが取り上げるようになってきたのだから。
 
 
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