人間、お金に困るとよからぬ考えを!
1999年の『薔薇族』6月号(今から15年前)を見てびっくり。
美輪明宏さんと、イタリア系アメリカ人、スティーブンと日本人でロスに長く住んでいるユーサクのアパートで顔を寄せ合っている写真が載っているではないか。
まったく忘れてしまっているけれど、「美輪明宏さんがロスに行くそうです。よろしくお願いします。」と、ぼくが彼らに電話をしたようだ。
ぼくと女房もロスに行った時、薔薇の花束を抱えて空港まで迎えに来てくれた。
きっと同じように美輪さんを迎えに空港まで行ってくれたのだろう。
7ページも使って「人が人を愛する素晴らしさ」と題して、スティーブンが美輪さんと過ごした数日間を書いている。
ロスには女房と3度、サンフランシスコには1度、甲秀樹君とぼくとでロスを訪ねたこともある。
このふたりとの出会いは思い出せないが、英語をまったくしゃべれないぼくが、ロスやラスベガス、サンフランシスコに行けたのはユーサクが通訳をしてくれたからだ。
このふたりは悪い人間ではないと信じてはいるが、『薔薇族』を利用したことは間違いない。
ユーサクは25年ものアメリカでの生活で何をしていたのかわからない。
スティーブンは大手の航空会社に勤めていたそうだが、今は何をしているのかこれもわからない。
ユーサクは通訳と翻訳の仕事をしているというが、古いアパートにふたりで住んでいるのだから生活は苦しいに違いない。
スティーブンは文章を書くのが上手なのでロスのゲイの世界を記事にしてよく送ってくれた。
なんの税金かわからないが払えないと刑務所に入らなければならないので、お金を貸してくれと泣きついてきたことがあった。
女房は同情して350万も貸してあげたが、分割で返すと言いながら、2、3度、数万円返してきただけだった。
しかし、彼らと出会わなかったなら、アメリカにぼくらは行けなかっただろうし、ゲイパレードにオープンカーに乗って参加することもできなかった。
ロスの有名なホテル「ベルエアーホテル」(昭和天皇も泊まられた)に、宿泊もできなかったと思えば、彼らを悪人とは思いたくない。
美輪さんも彼らのアパートでパーティに参加したり、美術館を訪ね、骨董店にも案内したりしてもらって、ごきげんだったようで、いい印象を持って帰国されたのはなによりだった。
三島剛さん、平野剛さん、大川辰次さんなどの男絵も売ってくれるというので送ったが1銭も送ってこなかった。
今でも悪いことをしたなと思っているのは『薔薇族』の表紙も描いてくれた有名な画家を彼らに紹介したことだ。
油絵も何点も送って売ってくれると言いながら、なんだかんだとお金をまきあげられて1点も売れなかったそうだ。
『薔薇族』と同じような雑誌の編集長でありオーナーであるボブさんと、恋人のフランス人の若者と知り合いになれたことは、忘れられない思い出だ。
ボブさんとフランス人の若者と、ユーサクとスティーブンを日本に招待したことがあった。
美術館にも来てもらい、ホテルで芸者さんを呼んで大騒ぎしたこともあった。
ふたりともエイズで亡くなられてしまった。
夢のような出来事だったが、人間、お金に困ると良からぬ考えをおかしてしまう。
お金がないということはつらいことだ。
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