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2019年1月 7日 (月)

常識では考えられないことが!

「孤独死」という、なんとも悲しい、嫌な言葉を目にすることが多い。
 
孤独死しているのを誰も気がつかず、悪臭がするというので通報があり、警察官がかけつける。
 
身寄りの人がいればいいが、それがいないとなれば役所が片付けるのだろう。
 
『薔薇族』という雑誌は、買うにしても大変な思いをして手にするが、これを処分しなければならないとすると、これまた処分に困ってしまう。
 
今は堂々と古本屋に売ったり、ゴミと一緒にしたりして捨ててしまうこともできるが、1970年台、80年台の頃は、デパートの中にある書店で『薔薇族』を万引きした高校生が女店員につかまり、警備員室に連れて行かれ、親を呼ばれたことよりも、自分がゲイであることを知られたことのショックで、トイレに行かせてくれと言って外に出て階段をかけのぼり、屋上から飛び降り自殺してしまった悲しい出来事さえあった。
 
どうしても結婚をしなくてはならなくなり大事にしていた『薔薇族』を編集部に送り返してくるというようなことが、年に何回もあった。
 
そんなときのために、これは友人の伊藤文学からのあずかりものだから、処分に困ったら送り返すように、ダンボール箱に書いておくようにと、「編集室から」に書いておいたこともある。
 
買った雑誌をまた発行所に送り返すなんてことは、他の雑誌ではありえないことだ。
 
ゲイの世界では常識的に考えたら信じられないような出来事が今でもある。
 
稲垣征次君という少年愛者で、エッセイも書き、少年愛の小説の挿絵も書き続けてくれた人が、田亀源五郎篇で「ポット出版」から『日本のエロティック・アート・Vol3』として、2号目を出版してから10年の年月を経て、作品を多く扱った3号目を刊行した。
 
今の時代、使った原画は、出版社から作者に返却しているが、かつては原画は出版社の元にあり、それがどう始末されたかわからない時代があった。
 
田亀さんは原画から印刷するという信念の持ち主なので、大変な努力だったろう。
 
どうしても原画を見つけられなかった作者もいたという。
 
田亀さんも画家のようだが、海外でも広く名前が知られている方だ。
 
田亀さんの解説の文章はすべて英文に翻訳されている。
 
本の装幀も見事な出来栄えで、この本はゲイの歴史に長く残るに違いない。
 
定価は¥4500+税。
 
箱入りの本で安価すぎる。
 
絶対に手許に置いておくべき本だ。
 
稲垣征次君の絵は、少年に対する愛情に満ち溢れていて、手抜きなどしない。
 
丹念に一枚の絵に情熱をこめて、長い時間をかけて描いている。
 
 
 
最近、稲垣征次君から電話で聞いた話だが、ゲイの世界だから当たり前のような話だが、常識的に考えられない話だ。
 
お客が買った絵を画家が亡くなり、奥さんが買い戻すというようなことは、ぼくにもあった。
 
この方は渋谷の画廊でお会いしたことが何度もあったが、かなり高収入の方で、高額の男絵や、人形をコレクションされていた方だ。
 
あっという間に時は流れている。
 
『薔薇族』が廃刊になってから15年も過ぎているのだから。
 
その方が男絵をコレクションされていた頃から20年、30年も時間が過ぎている。
 
稲垣君の作品を20数点、作者の元に返却してきたという。
 
何百万もかけて買ったものを。
 
からだの具合が悪く長く生きられないと思われたからだ。
 
ゲイの世界って常識では考えられないことが起こりうるのだ。

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コメント

今まで生きてきて、最も悲しかったことのひとつが、九州宮崎市内の老舗デパートでの、薔薇族を万引きしようとした高校生が、
デパートの窓から飛び降り自殺してしまった事件でした。
自分も今は東京在住ですが、宮崎市出身です。

この頃、自分は、まだ子供でしたが、この悲しすぎる事件は、東京に出てきて知りました。

この高校生が自殺した時に、たまたま、このデパートの書店に勤務してた青年が、薔薇族の読者で、
この日に限って、この青年の休みの日で、
後に、この青年が、
「もし、自分がこの日、勤務でいたなら、薔薇族を他の雑誌にすり替えてあげれたから、この高校生が自殺に追い込まれることはなかったはずなので、悔やんでも悔やみきれない」…みたいに、
薔薇族に投稿文を寄せてたのを覚えてます。

ゲイであること自体、セクシャリティのひとつで、ごくごく普通のことなのに、自殺に追い込まれた高校生が不憫すぎます。悲しすぎます。

二度とこんな悲しすぎることが起こり得ない、偏見や差別の無い、
あたりまえの、いい世の中、世界になってほしいものです。


投稿: 務☆ | 2019年1月12日 (土) 06時46分

 薔薇族を最初に買ったのは古本屋です。その古本屋はへんぴな場所なので置いていたのでしょう。600円とか700円でした。常磐線の東京の一番外れの駅と総武線の東京の一番外れの駅を結ぶバスの真ん中あたりの停留所の前で、来る人は限られている、そんな場所の古本屋です。
 時代は1970年代の後半で、少年だったので親には内緒です。もちろんですが、友人にも言いません。薔薇族を買ったことで、情報が手に入りました。新宿二丁目の場所も薔薇族で知りました。

投稿: 最初に古本屋で買いました | 2019年1月12日 (土) 03時54分

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