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2019年1月19日 (土)

貝がらには不思議なロマンが!

昭和62年(1987年)59歳で亡くなられた澁澤龍彦さん。
 
澁澤龍彦さんは多くの著書を残されているが、ぼくには難しくて一冊も読んだことはない。
 
先妻のミカ(本名・君子)日本女子体育大を卒業し、世田谷区立の松澤中学校の保健・体育の教師として働きながら、邦千谷舞踊研究所に通い、後に独立して「伊藤ミカビザールバレエグループ」を立ち上げた。
 
澁澤龍彦さん訳のフランス地下文学の最高傑作と言われた『オー嬢の物語』をミカは熟読して、舞踊化することを決意した。
 
澁澤さんに電話して舞踊化を決意したことを話したら快諾してくれた。
 
当時の澁澤さんの影響力は偉大だったから、無名の舞踊家ミカなのに、有名なアーティストたちが舞踊化に協力してくれ、大成功を納めることができた。
 
篠山紀信さんはミカを撮影してくれて『芸術生活』に載せてくれたことがあったが、篠山さんは澁澤さんの亡きあと、書斎や、建物などを撮影して写真集を出されている。
 
その中の棚の上に、いくつもの大きな貝がらが置かれているのを見て、長い間、ぼくの脳裏から貝がらの姿が消えることはなかったが、どこで手に入れれば良いのかわからなかった。
 
 
 
澁澤さんがなぜ貝がらに興味を持たれたのかは知るよしもないが、『澁澤龍彦をもとめて』(季刊「みづゑ」編集部編・美術出版社刊)に、澁澤さんと交友関係にあった方々が追悼の文章を寄せている。
 
その中の野田弘志さんという方の「遠い日の情景」という文章が目にとまった。
 
「貝殻頌(抄)澁澤龍彦」の見出しで、こんなことが書かれている。
 
 
 
「詩人のヴァレリーは貝殻が好きだった。
 
わたしも貝殻が好きだ。
 
あの美しい幾何学的な曲線、なめらかな石灰質の光沢、あれが自然の生み出した作品だというだけで、わたしには、すでに神秘であり驚異である。
 
古代のアンモン貝の殻は、厳密に正確な対数渦巻状の曲線を描いて形成されるという。
 
わたしのは、直径20センチくらいの美しいオウム貝の親類のようなもので、まことに微妙カーブを描いている。
 
机の上において、眺めているだけでも楽しい。」
 
 
 
人との出会い、物との出会いも不思議なものだ。
 
昨年のことだ。
 
下北沢の次の駅が池の上、井の頭線の駅と駅との距離は短い。
 
池の上はわが家から歩いて10分ほどだ。
 
池の上の商店街で毎年、フリーマーケットが開かれる。
 
出店する人は若い人が多いのだが池の上は年配の出店者も多い。
 
今にも雨が降り出しそうな日だった。
 
いつもより出店者が少ない。
 
午後3時は過ぎていただろうか。
 
心配していたとおり雨がポツ、ポツ降り出してきたので、衣類を並べている人たちは商品を片付けはじめていた。
 
60歳は過ぎている男性が、なんと貝がらを台の上に並べているではないか。
 
5コぐらいある。
 
欲しそうな顔をしたら、高いこと言われると思ったので、なんとなく手にもってみた。
 
「だんな、500円でいいですよ」と。
 
「南の国の海底からとり出したものです」
 
なんという貝がらか分からないが、5コも500円で買い求めてしまった。
 
机の上に置いて眺めているが、過去に買い求めたアンティークのものよりも、500円の貝がらの方が価値がある。
 
澁澤さんに少し近づいたような気がする。
 
ミカもよろこんでくれるだろう。
 
5つの貝がらに大きなロマンを感じずにはいられないからだ。
 
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