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2019年3月11日 (月)

北海道のへき地に世田谷の名を!

カフエ「織部」には朝日新聞と日本経済新聞が置いてある。
 
これらの新聞を読む人は、おそらく数人だろう。
 
ぼくは一番購読料が安い東京新聞しか読んでいないのでありがたいことだ。
 
日経の文化欄を読むのが楽しみ。
 
毎日通えればいいが、そうもいかないところがつらいところだ。
 
 
 
2019年3月6日の日経文化欄「北の大地の世田谷」と題する山形トムさんの記事を読んで、世田谷から一歩も出たことのないぼくには、ことんなことがあったのかとびっくりした。
 
山形さんはぼくと同年代の方のようだ。
 
 
 
「太平洋戦争末期の1945年7月、私たちは空襲で焼野原となった東京都世田谷区から、現在の北海道江別市の角山地区に開拓のため入植した。このとき道内へと入植した人たちは「拓北農平隊」と呼ばれている。
 
政府は同5月、被災者の救援と食料の増産を目的とする北海道疎開者戦力化実施要項を策定。全国から入植者を募った。
 
10月までに約3400世帯が道内に入植、世田谷区からは33世帯が移った。もっとも開拓者の多くは厳しい寒さと未開の土地に耐えかね、入植地を離れる。現在、世田谷からの入植組で、角山に残るのは6世帯だ」とある。
 
 
 
日本の敗戦が8月15日だから、7月と言えば1ヶ月前ということになる。
 
世田谷が焼野原になったとあるが、これはオーバーな話だ。
 
5月に世田谷はB29の爆撃があったが、焼けたのはところどころで、ほとんどが難を逃れた。
 
ぼくは国民学校の6年生だったから、当時のことはよく記憶している。
 
山形さんは当時11歳で長野県に学童疎開していたのを急遽北海道行きが決まった。
 
親が決めたことだから行かざるをえなかったのだろうが、苦労をしに行ったようなものだ。
 
 
 
「私の父は入植する前、世田谷の砧にある撮影所がある東宝映画の俳優をしていた。山形凡平といい、エノケン(榎本健一)の映画に出演したこともある。
 
ほかの世田谷区民の職業は大学教師や音楽家ら様々だったが、誰一人農業の経験はない。頼れる身寄りもなく、持ち家が焼けてしまった人が多かった」
 
 
 
北海道で仕事をするとしたら、牧畜か農業しかない。
 
農業の経験のない人たちが北海道へ渡ったら、生きていけるのだろうか。
 
無謀としか言いようがない。
 
東京にいても仕事はないし、食物はないし、行けばなんとかなると思ったのだろう。
 
案の定、角山地区はひどいところだったようだ。
 
 
 
「角山地区は石狩川流域の泥炭地で、農業には適さない。家と土地は無償で支給されるという話だったが、いざ行ってみると更地だけで、家は見あたらなかった。周りの農家の納屋に泊めてもらい、自分たちの家を建てるところから始めなければならなかった。
 
原始林から木を切り出し、馬で運ぶ。家は元建具屋の仲間が指導し、皆で助け合いながら建てた。秋までに家の半分だけ造り、震えながら最初の冬をやり過ごした。
 
入植から1ヶ月で終戦を迎えた。疲れ果て東京に戻る人たちも多く、翌年には20世帯まで減った。(中略)
 
96年に自作の絵画や開拓当時の資料など約100点を展示する北の世田谷美術館を開館する。開拓に苦労する中でお互いの得意の分野を教え合い、学びあったあの頃の想いを伝えたかった。(中略)
 
角山に入植した2世も皆傘寿を過ぎ、世田谷の記憶は年々薄れてきている。今後も描き続け、埋もれた歴史を発信し続けたい。」
 
 
 
世田谷を愛するぼくとしては、うれしい読み物だった。

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コメント

公立図書館に行けば、各社の新聞を無料で読めます

投稿: | 2019年3月15日 (金) 00時00分

 はじめまして、私は鉄道中心の旅を趣味としています。最近では北海道で駅の廃止が相次いでおります。明日役目を終える駅もあります。廃止前にそれらに訪問するのですが駅前が廃屋だらけのところが多くて寂しい限りです。ですけどあの土地に住み続けるのも大変だよなと毎回凍えながら考えます。
 そんなことをしている私にとってこの記事は大変興味深い物でした。北海道の至る所にこういう歴史がありそうですね。大地から人々の息吹が感じられそうです。

投稿: 呑み鉄にゃんこ | 2019年3月14日 (木) 02時42分

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