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2019年4月15日 (月)

文学さん、死んじゃいやですよ!

『薔薇族』の古い読者なら、誌上で関西でのゲイたちの情報をイラスト入りで、次々と送ってくれた鞍嶽三馬さんのお名前を覚えているだろう。
 
(ぼくのブログを読んでくれている人は若い人たちだから、高齢者はブログを読めないし、知ることはできない)
 
三馬(みんま)さんとは、ぼくが経営していた新宿の「伊藤文学の談話室・祭」で出会った方だと思うが、お顔は思い出せない。
 
レコード店を経営していたが、レコードが売れなくなって廃業。
 
京都の大手のネクタイの会社「菱屋」に移り、器用な方でネクタイのデザインをして才能を発揮し活躍された。
 
社長にも認められネクタイの美術館をつくられたときには館長にまでなった人だ。
 
その時代、『薔薇族』に関西の情報を次々と書き送って支えてくれた人だ。
  
B_1
 
クールビズなんて言葉が言われだして、夏にはネクタイなど着用しない時代になり、ネクタイは急激に売れなくなってしまい「菱屋」は倒産してしまった。
 
三馬さんは失業してからも、手製のネクタイや帽子などを手作りにして売り、生計を立てていたようだ。
 
ぼくにもネクタイや帽子を送ってくれたこともあった。
 
それからは年賀状のやりとりだけでのお付き合いだったが、お互いに年をとってしまった。
 
今年、頂いた年賀状は力のないよたよたの文字でからだが弱られているなと察しられた。
 
三馬さんの住所を書いた住所録をどこかに蔵い忘れて、ぼくからの年賀状を送れず、ずっと気になっていた。
 
4月に入ってやっと探し出して、しばらくぶりに長い手紙を書いて送ったら電話がかかってきた。
 
ぼくよりひとつ年上の88歳で病院通いをしていて、指がふるえ文字を書きにくいと言う。
 
ぼくも同じことだが、友人、知人が次から次へと他界し、寂しい生活を送っているようだ。
 
 
 
三馬さんから宅配で荷物が送られてきた。
 
中には手作りのネクタイが10本ほど、帽子が3ケ、サラリーマン時代、50歳のときに書いた「ヨーロッパ・駈け足研修の夜」というイラスト入りの原稿を見つけ出したというので送ってくれた。
 
ぼくはヨーロッパには、一度も行ったことがないので、これから読ませてもらって楽しみたいと思っている。
 
C  

手紙が入っていて、「年賀状がこない今年の正月は暗い、暗い正月でした。人生に目的がないということは(この年齢の故か)やはりあの世とかいう想像もできない有様が横たわっています。
 
毎日の医者通いもきつく、うんざりです。兄弟、いとこも全部いなくなりました。ひとりぼっち、気楽といえば気楽、しかし、目的のない空しさは底知れぬ淋しさです。(中略)
 
現在のマンションも手作り商品が売れて買いました。中之島のホテルの地下街が一点主義の意識ある価値でよく売ってくれて注文に応じられないぐらい、嬉しい悲鳴でした。
 
大阪では『薔薇族』を通じて、多くの友人たちができ、ビジネスにもプラスになりました。文学さんには心より感謝しています。
 
そして、それから数10年……。年をとるわけです。そうです。いろいろ想い出されます。レコード店が倒産し、無一文となって京都へ。そしてヨーロッパ研修を3度繰り返し私の人生がころりと変わりました。
 
この手が、この指がある限り生きる価値、生きる勇気、そして生きねばならいのだと確信したのです。
 
最近、手のふるえが出てきました。それでも医者通いしながら、とにかく元気に生きています。文学さん死んじゃいやですよ」
 
 
 
ぼくも左手がすこしふるえ出しているが、みんなの心の支えにならなければ。
 
元気で頑張るぞ!

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