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2019年5月 4日 (土)

伊藤文学氏は昭和の偉人のひとり

田亀源五郎さんの活躍ぶりは日本だけでなく、海外にまでひろがっていて、ゲイの人で今や知らない人はいない。
 
2019年の4月にポット出版刊の田亀源五郎編『日本のゲイ・エロティック・アート』の3巻目が刊行され完結し、銀座の「ヴァニラ画廊」で華々しく、多くの男絵師たちの作品が展示された。
 
3巻目の中に納められた少年の絵は、10年も前に原画を渡してあり、やっと陽の目を見たと作者の稲垣征次君は、よろこびを電話で伝えてくれた。
 
出版物の売れゆきが落ちるばかりの時代に10年もかけて完結させた、ポット出版の努力は大変なものだったろう。
 
箱入りの豪華本で定価も¥4500+税と高価だが、もうここに納められているような男絵師は現れないと思うほど、ゲイの歴史に残る本なので購入してほしいものだ。
 
2002年3月に刊行された、伏見憲明さんの著書『ゲイという[経験]』もポット出版から発売されている。
 
オビに「伏見憲明の総決算・性愛の未来を予言する」とある。
 
伏見さんは1963年東京生まれの埼玉育ち、慶應義塾大学法学部政治学科卒の頭のいい方だ。
 
ぼくが経営していた新宿の「伊藤文学の談話室・祭」で何度もお会いしたと思うが、お顔は思い出せない。
 
この本の中の「ゲイの考古学=「私たち」はどこからやってきたのか? 日本のゲイの歴史を探訪する」は、よく調べていてゲイの歴史を知りたい人には、ぜひ読んでもらいたい。
 
残念ながら伏見さんは『バディ』で活躍された人だ。
 
藤田竜さんとは一緒に仕事はできなかったろうから仕方がないことだ。
 
2006年7月に河出書房新社から刊行されたぼくの著書『「薔薇族」の人びと・その素顔と舞台裏』の書評を書かれているのを見つけ出した。
 
 
 
「ある新聞から書評を頼まれた伊藤文学著『「薔薇族」の人びと』(失礼だがあまり期待せずに読んだら)これが非常に面白かった。
 
名著ではないか。伏見はこういう本が読みたかった。そしてゲイの人にはぜひ読んでもらいたい。
 
先日とある公園で高校生らによって同性愛者の男性が襲われ、現金を奪われる事件が起こった。少年たちは同性愛者なら通報しないと思ってやった、と自供しているという。
 
この件は、まだまだ社会に同性愛者への差別意識が根深いことを物語っている。一方で被害者が警察に通報したことは、時代状況の進展も示しているだろう。かつてだったら同性愛者だということで被害にあっても、それを知られないよう泣き寝入りせざるをえなかったからだ。(中略)
 
本書は一つの商業誌の発行を通じて時代と格闘した人々の物語だ。その過程で生まれたエピソードの一つ一つは、新しい時代に光を呼び込もうと奮闘した人びとの物語だ。その過程で生まれたエピソードの一つ一つは新しい時代に光を呼び込もうと奮闘する人間の姿そのものであり感動的だ。そしてどこかユーモラス。
 
この本の他にない魅力は、伊藤氏の人間を断罪しようとしない態度に裏打ちされている。
 
例えば、昨今では犯罪者としか語られない少年愛の人についても、氏はそれを頭から否定するのではなく、どこまでもその人の生きがたさに寄り添おうとする。そのまなざしは宗教者のようであり、お名前のような奥行きを感じさせる。
 
振り返ると、伊藤文学氏もまた、昭和の偉人の一人だと断言できる。」
 
 
 
うれしい書評だ。
 
ハワイからやってきた人がこの本を持ってきてサインをと言われた本だった。

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