LGBTは少数者か!
朝日新聞は、ぼくの末の妹・紀子が昭和30年の後半、東京女子医大の心臓病棟に長いこと心臓手術の日を待っていた頃のことを『ぼくどうして涙がでるの』という本を出したとき、記事にしてくれて日活で映画化されるきっかけをつくってくれた新聞だ。
そのときのご恩は忘れることはできない。
朝日新聞をずっと購読し続けていたが、『薔薇族』は廃刊になり、僅かな年金暮らしをするようになってからは、一番購読料の安い東京新聞を購読するようになってしまった。
東京新聞は第二書房で単行本を出していた頃は、営業の人が熱心に広告をとりにきていたので、広告を出し続けていた。
東京新聞も景気のいい時代には、帝国ホテルで「ザ・ピーナツ」を招いてのパーティに参加したこともあった。
朝日新聞の読者の投稿欄「声」には何度も投稿していて必ず載せてくれていた。
東京新聞の投稿欄は「発言」というコーナーがあるが一度も投稿したことはなかった。
最近、新聞紙上に「LGBT」という言葉が目につくようになってきたが、その下に必ずカッコして(少数者)と書かれている。
なにかあわれんでいるようにも思えて気になっていたので、思いきって「LGBTは少数者か」というタイトルをつけて投稿した。
何日も経つのに載らないので没かなと思っていたら、担当の鈴木さんという方から電話があって、ゲイトレズビアンの人たちの人数というのは、諸説があってはっきりしないので、そこのところを思案しているようだった。
5月8日の東京新聞朝刊に、特別に目立つように載せてくれたではないか。
「著述業 伊藤文学 87(東京都世田谷区)
最近「LGBT」という言葉がマスコミで使われるようになってきた。Lはレズビアン、Gはゲイ、Bはバイセクシュアル、Tはトランスジェンダーなどの人を示すようだ。紙面などでは「LGBT」の下に、カッコして(性的少数者)という文字が説明として用いられることが多い。
だが、果たして「LGBT」と呼ばれる人たちは、少数者だろうか。僕は米国ロサンゼルスのゲイパレードに、日本を代表してオープンカーに乗って三度、サンフランシスコでも一度参加したが、性的少数者と哀れむような感じで呼ぶ人はいなかった。
確かにトランスジェンダーの人たちは少ないようだ。この人たちのことであるなら「性的少数者」という表現も納得する。だが、ゲイとレズビアンの人たちはそれとは異なる。国内外の各種調査の数字にもかなり幅があり、確かな数字はわからないが、ゲイやレズビアンの人たちは僕の周囲にはいくらでもいる。感覚としても、決して「少数者」ではないのでは。
ゲイもレズビアンも異常でもなければ変態でもないと、これまで僕は雑誌『薔薇族』の編集長として叫び続けてきた。もって生まれたもので、決して趣味でそうなるわけでなく、多様な性の一つだ。
生き方の問題なのだから、堂々と胸を張って生きてもらいたいと願う。今になって急にゲイやレズビアンが増えたわけではなく、いつの時代でも一定数存在していたのだと思う。
時代が「令和」に変わった。万葉の時代のように、人々が花を愛する平和な時代であってほしいものだ。」
こういう内容の投稿が載ったのは、初めてのことではなかろうか。
担当の方もずいぶん気を遣ってくれたので、時間がかかってしまったのだろう。
朝日新聞や読売新聞でなく、東京新聞に載ったことをぼくは誇りに思う。
最後の締めの言葉は泣かせるではないか。
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コメント
アメリカ人の性的指向を測定した国民健康調査(NHIS)2014年では、アメリカ人の1.6%が同性愛者またはレズビアンであると識別し、0.7%がバイセクシャルと識別したと報告しました。※1
たったこれだけです。
伊藤さんがロスやサンフランシスコでどれだけオープンカーに乗られたとしても、全体をみればたったこれだけなのです。
デトロイトでは?ダラスでは?オハイオでは?
みんな小さくなって生きているのではないでしょうか?
僕はゲイパレードで裸同然で歩く人たちが本当に不愉快で嫌いです。愛することと猥褻をはきちがえているのです。こういう人たちがいるから異常だと言われる。
東京レインボープライドにもそういう馬鹿がいて一緒にされたくありません。
参加していた中学性くらいのカップルに、そんなもの見せたくなかった。
※1 Health survey gives government its first large-scale data on gay, bisexual population
投稿: | 2019年5月16日 (木) 21時22分
Bのバイセクシュアルに関しては、客観的には実在しないと思われることも投書してもよかったのではないでしょうか。
Bのバイセクシュアルは、本当は本人の思い込みや願望上のもので、実在しないものであることを今言うと世の中の流れがひっくり返ってしまいますが、それでもこの辺で真実を言うべきでしょう。
投稿: | 2019年5月14日 (火) 01時39分