« 令しく平和に生きるために | トップページ | エイズを忘れてはいけない! »

2019年7月 1日 (月)

買うのも捨てるのも大変な『薔薇族』

『話の特集』という月刊誌(今はない)の編集長、矢崎泰久さんが廃刊後、「編集後記」だけをまとめた単行本を出したことがあった。
 
ぼくも『薔薇族』の最後のページに「編集室から」という2ページのコーナーがあって、5段組で小さな文字でびっしり書いている。
 
テレビのCMでひっきりなしに宣伝しているハズキルーペの一番どの強いのを買い求めたからなんとか読めるものの、今まで使っていた老眼鏡ではとても読むことができない。
 
1981年103号8月号の「編集室から」を読んでいたら、電話をかけてくれた本人にしては大変な事件で、笑っちゃいけないけれど、ついつい苦笑してしまう話だ。
 
 
 
「22歳になるこの青年、お堅い会社に勤めているのですが、『薔薇族』をはじめとして、諸々のゲイ雑誌が溜まって百冊ばかり、処分に困って車に乗せて、河原に捨てたというのです。
 
大概捨てるところは河原と決まっているようです。
 
ところが寒いうちは良かったけれど、鮎釣りが解禁になって、釣り人が河原にたくさん集まってくるようになってきたものだから、その雑誌の山を誰かが引っ掻き回したのでしょう。
 
この青年、ドジな男で手紙も『薔薇族』の間に入れ忘れていたものだから、今日、警察から電話がかかってきて、事情聴取されたというのです。
 
子供が拾って読んだら大変というので、誰かが警察に通報したからでしょう。
 
よく雑誌が溜まってしまって捨て場所に困り、発行元の第二書房に段ボール箱に入れて送り返してくる人も年に何人もいます。
 
この方が本当はいいのですが、こんなとき気を利かして地方の名産でも入れて一緒に送ってくれればいいけど、そんな人はいませんでした。
 
いつか演習に行った自衛隊員が、山の中に捨てられていた『薔薇族』を拾って帰り、それから読者になったという人がいましたが、拾う人が違うととんだ悲劇になってしまうから、捨てる場所には気をつけて捨ててほしいものです。
 
先日、伊藤文学の談話室「祭」に立ち寄ったら地方の公務員の年配の方が囲炉裏のそばに座っていました。
 
ぼくのそばには表紙絵を描いてくれている木村べん君や、モデルの青年もそばにいたのですが、その紳士、カバンの中から『薔薇族』7月号を見せてくれました。
 
地方の本屋さんのカバアがきちんとかかっているのです。
 
人口10万人そこそこの町にも何軒も『薔薇族』を置いてくれている本屋さんがあるそうですが、近所では顔見知りで買えないので、町外れの知らない本屋さんで買っているそうです。
 
その本屋さん、心得ていてすぐにカバアをかけてくれるのだそうですが、買うとすぐに表紙を破り捨ててしまうそうです。
 
そうして中の口絵の写真も同じようにしてしまうのです。
 
そばで聞いていた木村べんさん、嘆くことしきり、でも、そんな思いをしても買ってくれているのだし、奥さんや、子供さんがいるのだから仕方がないのかも。
 
そうしてみんなが寝静まってから読むのだそうです。
 
今年から表紙に内容を書いた文字や、写真は一切入れないことにしました。
 
『薔薇族』という文字は取るわけにはいかないけれど、少しは書いやすくなったのでは。」
 
 
 
捨てるのも、買うのも大変な雑誌。
 
「編集室から」は、諸々のことを書いている。
 
まとめたら時代、時代で面白い読み物の本になるかもしれないな。 

|

« 令しく平和に生きるために | トップページ | エイズを忘れてはいけない! »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« 令しく平和に生きるために | トップページ | エイズを忘れてはいけない! »