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2019年6月 8日 (土)

ひとりひとりが強くなるしかない!

1983年(今から36年前)8月号に、ぼくはこんなことを書いている。「少年のしかばねを乗り越えて前進しよう!」と。
 
宮崎県のデパートの中にある書店で、17歳の少年が『薔薇族』を万引きし、女店員につかまり、警備員室に連れて行かれ、父親を呼び出したために、屋上から飛び降り自殺した話は、読者に大きな影響を与えた。
 
「警備員室の机の上に投げ出された一冊の『薔薇族』それは5月号だったから、木村べん君のさわやかな新人大学生のさっそうとした表紙絵だった。
 
背表紙には「新しくスタートする君へ」と大書してあった。新入社員にも読んでもらいたいという気持ちからのものだ。
 
少年は中身も読まず、ただぼくが作った雑誌を、ほんの瞬間、手に握っただけで、この世を去ってしまった。
 
おそらくこの少年は、以前からこの雑誌を読んでみたいと思っていたに違いない。折角手にした雑誌を取り上げられ、机の上に放り出されいかにも汚いもののように投げ出された『薔薇族』。
 
警備員と君の父親が、君に何を言ったのかは知るよしもないが、この世でこんな汚いものはないというような目で、この本をにらみつけたことだけは想像できる。
 
京都市の大学生からの手紙は、この大学生も高校時代に『薔薇族』を万引きしたと告白してくれている。そのとき万引きしたことに対する罪の意識よりも、やっと手に入れたよろこびのほうが上回り、さらに別の種類の罪の意識が湧いてきたと書いている。
 
家に帰ってどんなにか、わくわくしてこの雑誌を開いたことか。
 
愛媛県の「友達の輪」さんは、『薔薇族』の存在を知ってから、買うまでに2,3年もかかったと告白してくれている。
 
男が好きだという自分の心の中に巣食う後ろめたさのために、『薔薇族』の全読者が、いや『薔薇族』を買うことすらできない、何百倍もの人たちが、どんなに悩んだり、苦しんだりしているか知らないだろう。
 
死んだ少年の近くに住んでいるという、宮崎県のKさん、少年がたたきつけられ無念にも死んでいったデパートのアスファルトの上に立ったというのだ。
 
この雑誌は本当に不思議な雑誌なのだ。読売新聞の「人生相談」に、「私の夫はホモかもしれない」という投書をした奥さんのことを、このひとりごとの欄で紹介したら、すぐにその夫というのは私だと言って、手紙が送られてくるのだ。それほど狭い世界なのかもしれない。
 
この少年が死んだアスファルトの上に、読者のひとりが立っている。ぼくはこの青年にお金を送り、白い薔薇の花束を買ってもらい、この冷たいアスファルトの上に捧げて少年の死を悼んでもらおうと思う。
 
本当に今は、この少年の死に何もしてあげられない。でも、ぼくはこの少年の死を絶対に無駄にさせない。必ずや今に世間の偏見をなくしてやる。
 
読者諸君のひとりひとりが強くなって、どんなに冷たい世間の仕打ちにあおうとも負けてはいけない。この少年のしかばねを乗り越えて、ひとりひとりが強くなってほしい。
 
書店の主人や、店員を悪く言ってはいけない。彼らは何も知らないのだから仕方がない。本を盗んだものをつかまえただけなのだから……。
 
それよりもみんなの心の中に巣食う後ろめたさを、自分の力で追い出さねばいけない。男を愛することが悪いという意識をなくすことだ。」
 
 
 
どのゲイ雑誌も5万、10万という発行部数にならなかったのは、いかに買いにくかったからだ。

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コメント

バラ族かぁ・・・懐かしいなぁ・・・
談話室「祭」も数回ドキドキして利用させて頂きました
昔は「権田わら」とか、渋谷の「全線座」とかの発展場
とか有りましたが、現在は遂に「上野サウナ」も閉店しましたね・・残念です
仕事の関係で下北沢の集会は参加出来ません
ていうか、女性の好奇な視線には耐えられません
ブロークバックマウウンテンの映画にも
女だらけでしたしね。分けて欲しいものです。席を(笑)
集会も分けるべきなのです。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

NHKBSの6月26日の放送で、伊藤文学さんは「私はゲイでは有りませんが」と言われて居ましたが、それは裏を返せば、一連の行為、バラ族や祭の経営などは売名行為そのものだと思う者です。
NHKで「私はゲイですが」とは言えませんよね

同性愛者を食い物にしてはいけません
だからこのような悲劇も発生するのですよ

三社祭も終わりました
祭りのあと 吉田拓郎 ユーチューブ検索でどうぞ

投稿: ミッキー | 2019年6月27日 (木) 16時31分

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