« 子供の頃のトンボとりの話 | トップページ | 戦後のエロ雑誌の歴史を追いかけて! »

2019年8月31日 (土)

エロ本、一つの文化の幕が下りて!

「学校やTVが教えてくれない大切なことは、大体エロ本から教わった。」(石野卓球)

『日本エロ本全史』(安田理央著・太田出版刊)のオビに書かれている。

石野卓球さんは、著書の友人とあとがきに書いてあるが、ネットで調べればどんな経歴の方かすぐにわかるのだろうが、ぼくにはそれができない。

「大切なことはエロ本から」確かにそのとおりだ。ぼくは学生時代にオナニーにはまって悩んでいた。当時はオナニーをすると体に害になると言われていた時代。エロ雑誌の小さな記事に「オナニーをしても体に害になることはない」という医学博士の記事を目にした時、気持ちが楽になった記憶がある。

ぼくの出版の仕事の発想は、オナニーからと言っても過言ではない。秋山正美さんの著書『ひとりぼっちの性生活』がヒットして、エロ本から大転換して、同性愛者向けの単行本を次々と出し、それが日本初の同性愛誌『薔薇族』の創刊へとつながっていったのだから。

ぼくは他人さまの書いた本をほとんど読まない。『日本エロ本全史』の広告を東京新聞で見たときに購入したと思ったがすでに何日か過ぎていた。

87歳ともなると脚が弱ってくる。早く歩けない。三軒茶屋のカフエで、世田谷学園時代の友人と出会い、帰り際に「蔦屋書店」に入り、脚を鍛える本を買おうと思って書棚を見ていたら、『日本エロ本全史』が置かれているではないか。即座に買い求めてしまった。
 

Img_5704  


昭和23年から父の出版の仕事を手伝ってきたからよくわかるが、書店は1ヶ月もすればすぐに返本してしまう。300ページを越す本をじっくり読んでブログに紹介してもそのときは本屋の書棚からは消えている。

今時の若者は書店で買わずにネットのアマゾンで購入するから関係ないのかもしれないが……。

安田理央さん、とんでもない雑誌好きの方だ。「はじめに」を読むと、こんなことが書かれている。



「もともと古本屋が好きだった。そしてエロ本も好きだった。

まだ中学生くらいの時は、書店でエロ本を買うのは勇気がいる行為だった。店員が何人もいる明るくて大きな書店よりも、おじいさんが一人でやっている古ぼけた古本屋の方が黙って売ってくれそうな気がしていた。

それに安い。中学生は少ないおこずかいの中から、なんとかひねり出して古本屋でのエロ本を買いあさっていたのだ。」



『薔薇族』を創刊した初期の頃、九州のデパートの中にある書店で、高校生の男子がレジに持って行けずに万引きしてしまった。

女店員に見つけられて警備員室に連れて行かれ、父親を呼ばれてしまった。少年は万引きしたことよりも、父親にゲイであることを知られてしまったことにショックを受け、トイレに行かせてくれと部屋を出て、階段を駆け上り、屋上から飛び降り自殺してしまった。

エロ雑誌は当たると、5万部、10万部と売れたようだが、『薔薇族』は、どんなにマスコミに紹介されても3万部を超えることはなかった。それは買うのにも大変な苦労をし、捨てるのにも苦労した雑誌だったからだ。この本には『薔薇族』だけがゲイ雑誌として、創刊号の写真入りで2ページも紹介されている。

1946年から2018年までの創刊号100冊をオールカラーで完全紹介しているのだから、3700円は安すぎる。

もう2度とこのような本は出せないだろう。「平成という時代の終わりとともに、一つの文化が、その幕を下ろしたのである。」と。

 

Img_5705

|

« 子供の頃のトンボとりの話 | トップページ | 戦後のエロ雑誌の歴史を追いかけて! »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« 子供の頃のトンボとりの話 | トップページ | 戦後のエロ雑誌の歴史を追いかけて! »