昨日の敵は今日の友!
昭和38年(1958年・今から61年前)の4月1日、売春防止法施行され、廓の娼妓たちは解放されて、今では「ソープランド」と改名されて営業されている。
「吉原金瓶大黒楼訓」を江戸時代からの16当主のMさんからいただいたが、これは従業員に読ませるものだろうが、難しい。
一、お客様は神である。「神と仰ぐは米櫃だから。」
一、お客様は上(かみ)である。「上と仰ぐはお客様が立場上位だから。」
一、お客様は紙(かみ)である。「紙と仰ぐお客様の満足度は紙フィルターに通して煤けて見えるから。ただし、紙は一寸油断してしまえば、燃え散り木っ端微塵に引き裂かれることを戒めとせよ」
吉原金瓶大黒楼十六代当主
十六代投手のMさん、まだ二、三回しかお会いしていないし、吉原の金瓶梅にお伺いして話をしたのが初めてで、一方的にしゃべりまくる方で、残念ながら耳が遠くなってきたぼくには半分は聞き取れない。
Mさんは頭のいい方であることは理解できるが、どんな学歴の方かはまだわからない。
神経は繊細な方で、よく気がつき、手先が器用なのか、ご自分で造形物を作られる。
目白のホテルの一室に招かれた時に同席していた後藤五郎さんに出会い、初めて漆喰を使った、鏝絵なるものを知った。
Mさんは後藤五郎さんの教えを受けて、作られているのだろう。
ソープランドのオーナーとは想像もつかない人だ。
金瓶梅の玄関先には、後藤五郎さん作の大きな龍の彫刻が建物にはめ込まれている。
壁の鏝絵は魔よけとともに、商売繁盛と家内安全、幸せをもたらすという、現世利益の願いが込められているそうだ。
江戸時代、天保12年に伊豆の長八という人が、日本橋茅場町の薬師堂の建立にあたって柱に漆喰で龍を彫刻したところ、左官の鏝で製作されたものとは考えられない見事なもので、その後、長八が様々な技法を編み出し広がっていったそうだ。
ソープランドのオーナーに招かれてこのような人に出会い、話ができたことは幸いだった。
Mさん、ソープランドの中を案内してくれた。お客さんが待っている部屋は、中国の豪華な家具が置かれていて、廊下もトイレも清潔だ。女性がお客に奉仕する部屋も見せてくれたが、浴槽があって6畳ぐらいだろうか。もっと広い部屋もあるそうだが、若い女性もいたが暗い感じはしない。感じのいい女性ばかりだった。ぼくも若ければ一度は来てみたかったが、もうこの歳ではどうにもならない。
Mさん、上野にもお店を持っていて、そこではカラオケも歌える。ぼくがシャンソンが好きだと言ったら、越路吹雪さんの歌を何曲も熱唱してくれた。
「昨日の敵は今日の友」なんとも不思議な出会い。今風の扉がスイッチで開け閉めができる立派な仏壇に、ぼくもお線香をともして手を合わせた。深夜、自宅まで運転手さんが送ってくれた。
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コメント
こんばんは。前記事と共に読ませていただきました。
一つお伺いしたいのですが、吉原の金瓶梅というのは、金瓶梅という店名で吉原でソープを営業されているお店で間違いないでしょうか?
金瓶梅には行ったことがあるのですが、あまりにも私の記憶と違いすぎまして‥。
投稿: 三崎 | 2019年9月30日 (月) 01時15分
ソープランドには風呂を利用するだけという選択も有ります。体を若い女性が裸で洗ってくれるだけ。それと若い女性と裸で二人だけでお話できる。但し、時間制限ありで。
アルコールを売る店と違って明瞭会計の料金定額、自宅にも早い時間に笑顔で帰れます。ご主人が笑顔で早く帰って奥様も笑顔になり夫婦円満と相成ります。
オーナーも同じ意見でしょう。
投稿: 風呂だけという選択も有ります | 2019年9月11日 (水) 01時37分