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2019年11月30日 (土)

この世は天国と地獄がとなりあっている!

藤田竜さん、『薔薇族』の編集部から去ってしまった。それと同時に若い多摩美大卒のN君が入社してくれた。創刊のころ、訪ねてきてくれたことがある青年なので、前から知っていた青年で、毎日、楽しく仕事をしてくれていますと、「編集室から」にぼくは書いている。
 
竜さんは続いてこんなことを書いた。
 
「俺が考え出した「人生薔薇模様」にしても「男街13番地」にしても本当はこういう形でなかったのだけど、いろんなものは生まれるとひとり歩きしてゆくもので、だから、これからは俺もこの欄を利用させてもらうのに、かえって気持ちいい。
 
あんた、あの雑誌やってていい男いっぱい食ったんでしょ、なんて誤解は多いのであるけれど、実際は一人か、二人と付き合ったくらいで、まずは情けなくもなにもない。お客さまは神さまであるから手をつけてはいけないのだ。
 
もう、フリーだから、これからは薔薇通信も大いに利用させてもらう。ついでだから、ここに書いてしまう。
 
❤︎東京都・渋谷区・ドラゴン 初投稿の35歳。175×73。短髪、やや出腹、ヒゲと胸毛つき。人はやさしい目といいます。(このあと、くわしく希望を書いている)
 
これ、本気なんだからね。『薔薇族』と決別して傷ついている俺を誰かなぐさめてよ。今まで本誌でがんばってきたのだから、男のおあたいぐらいあってもよかろうと思うのだが、どんなものだろう。
 
ひとときでも幸福になりたい人は、ドラゴンさんに手紙を出そう。この文章に腹を立ててる人は、本質的に不幸になるだろう。
 
この世は常に天国と地獄がとなりあっている。そして男好きの男の世界ではその格差が激しい。不幸になる人は、己が罪とはいえ、どんどん不幸になるようになってる。それも人生。ドラゴンさんに気に入られたら、どんどん幸福になる。それも人生。ああ、愉快愉快。
 
ほんじゃ、ま、皆さん、お元気で。ほんとにさようなら。」
 
竜さんの大ファンで、すばらしい小説を書き残してくれたNHKのアナウンサーだった盾四郎さんが「花道から消えてしまった竜ちゃんに惜しみない拍手を!」と題して、うれしい一文を寄せてくれた。
 
「竜ちゃん
 
『薔薇族』から藤田竜が消えるなんて−−。
 
まるで海老蔵が突然引退しちゃったみたいなもので、僕はとっても寂しい。
 
今、僕は創刊号を手に取った時の、あの新鮮な驚きを思い出すのだ。こんな雑誌が発刊されるという予告は、それ以前に週刊誌か何かの記事で知ってはいた。そしておそらく、毒々しい表紙の、乱雑に活字がつまった、あの種の雑誌なのだろうという予想が僕にはあった。だから、今はない上野の地下道の本屋で創刊号をめくった時の清々しさは、むしろショックだと言ってよかった。この種の雑誌でもこんなに綺麗に作れるものなのかと、その発見がショックだったのだ。(中略)
 
とにもかくにも、君は大向こうをうならせて、飛び六法で花道から消えてしまった。チャリンと揚げ幕が閉まったいま、僕は客席より友情を込めて、惜しみない拍手を送るとしよう」
 
読者からも去っていた竜さんをおしむ手紙がたくさん寄せられた。
 
「竜さん、かっこ良すぎるぞ。いさぎ良すぎるぞ。僕はもっと竜さんの絵も見たいし、おフザケも、憎まれ口も聞きたかった。そして、竜さんの弱さもみたかった。(後略)(大阪市・Y)」
 
なんと数ヶ月して竜さん、戻ってきてしまった。新入社員のNさん、いられるわけがない。その後、Nさん、ラジオに番組をもったり、昨年はNHKの同性愛の戦後を描いた番組の主役にもなり活躍している。
 
天才には陰がつきものなのだ。竜さん、ありがとう。

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コメント


竜さんが戻ってきても、伊藤さんは新入社員のNさんを守ってやってほしかった。
ところで、盾四郎さんの以前の勤務先という個人情報を公表して問題はないのですか。

投稿: | 2019年12月 2日 (月) 01時46分

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