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2019年11月23日 (土)

男同士がテレビカメラの前でキスを!

今から25年も前に初めて同性愛の世界をテレビを通じて家庭に持ち込んだ作品だ。脚本を書かれた井沢満さん、孫にネットで調べてもらったが、74歳ということだけはわかったが、その後、どんな仕事をされたのかは不明だ。

50歳を越えた人たちしか見てはいないだろう。ぼくも毎週見ていたと思うが、もう内容を忘れてしまっている。

日本テレビのディレクターの細野英延さんがよくぞ舞台裏を書き残してくれたものだ。

男同士がテレビカメラの前でキスをするなんてことは、当時はなかった。

「これこそ全員が初体験である。もちろんカメラアングルでそれらしく見せることはできるが−−。スタッフの間でも賛否両論。「本当にやるべきだ」「いや、そこまでやらなくても」云々。しかし、このドラマ『同窓会』では本当に堂々とやるべきだとの思いが強かったので、A君とB君の意見を聞いてみた。ふたりの意見は「本当にキスをしないでごまかしたら、よけいに嫌らしく映るんじゃないですか。やりましょう!」であった。

撮影開始−−映像は実に美しいものとなり、厳粛な雰囲気のシーンになった。テレビ界で初めてのシーンであるばかりか、男と男の愛を表現できたと確信した。A君とB君に心から拍手を送った。いや、今も送っている。

社会現象となった「同窓会」−−それは作家、井沢満氏の描く文学の世界へ。出演者、スタッフが一丸となって入り込んでゆき、苦しみながらも全力投球した結果、成功したのだと思っている。

放送当日の電話は数多くあった。もちろん賛否両論である。そして『同窓会』への当初は百通を越えている。ある若い女性はレポート用紙にビッシリと30枚も書いてくれている。そして意外なのは若い女性が多いという点である。その中の一人で、小樽のM子さんはこんなことを書いてくれている。

「私も既成概念を超えた表現へ共感を持ったひとりです。男同士の愛がこんなにも綺麗に、そして切なく、いとおしく描かれたのを見たのは初めてです。人を好きになるということ、愛するということ、これを男女間だけのものと決めつけてしまいたくない。(略)これからも真実の愛を考えさせられるドラマを作ってください。」

また、かなりの年配であるK氏はこんな手紙をくださった。

学生時代、運動部で一緒だった後輩のN君とは気があって、山へ登ったり映画を観たりと、いつも一緒に遊んでいた。後年、社会人となりK氏は結婚することになった。結婚式当日、N君は来なかった。後日、わかったことだが、N君はK氏の結婚式の日に自殺してしまった。原因はわからず遺書もなかった。

今回『同窓会』を見ていて、N君の想いがわかった。

K氏はN君の墓参りにゆき、30年ぶりにN君に逢ってきたという。

ドラマの中の「アタリと風馬」の友情と愛の関係は、形こそちがえ、多くの人々が経験していることだと思う。ただ、それに気づかないうちに、時間の流れの中で忘れ去ってしまっているのではないだろうか。

『同窓会』は、その内容と表現の激しさから賛否両論の社会現象となってしまったが、私の脳裏には、作家・井沢満氏の言葉が印象に残っている。

「今は騒がれているけど、10年後には『同窓会』も普通のドラマになっているでしょう」」

日本テレビ制作局ディレクター・細野英延さん、『薔薇族』のためにいい文章を残してくれた。最初にやる仕事の大変さがにじみ出ている。全話が4巻のビデオになって発売中とあるから、もう一度、見てみたいものだ。

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コメント

井沢満さんはブログされていて面白いこと書いてますよ。
https://blog.goo.ne.jp/mannizawa

投稿: keiko f | 2019年11月30日 (土) 07時36分

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