テレビドラマで初の男の全裸シーンが!
日本で初の同性愛をテーマにしたドラマが日本テレビで連続で放映された。脚本、井沢満さんの「同窓会」は、大きな話題になり、このドラマが放映されている時間には、新宿2丁目の通りには、人影がいなくなったという(25年前のこと)。
日本テレビ制作局のディレクター、細野英延さんが、1994年4月号に「同窓会、マル秘話公開!」のタイトルで、「全裸シーン、男同士のキス、いま明かす話題ドラマの舞台裏」をあかしてくれた。
いつ放映され、何週続けられ、視聴率がどのくらいだったのか、残念ながら調べられない。それに白内障が悪化してきて、老眼鏡をかけても小さい文字がよく見えない。11月の末に手術を片目ずつして、果たしてよく見えるようになるのか。心配だが途切れないように描き続けたい。目が疲れてくるので、休み休み書いている。古い友人で週刊女性の記者をしていて、初めてぼくに記事を書かせてくれた竹内君、目が悪いので喫茶店で話をすると、水の入ったコップで眼を冷やしていたっけ。若くして亡くなってしまったが、いま思い出してコップに水と氷を入れ、眼を冷やしながら書いているとは。
「ホモ・セクシャルを単なる風俗としてとらえないようにお願いします。という作家・井沢満氏からのメッセージがあってから第1回目の脚本が完成した。そして読み終わったスタッフ全員んが、作家の凄まじいエネルギーとパワーに圧倒されてしまった。(中略)
「シャワーを浴びているA君、水しぶき、全裸である」というト書き。男の全裸シーンというのは初めてであり、役者のA君も初めてである。
さっそく前張り(局部のみを覆う)が必要で、スタッフのT君が「前張り担当」になった。T君は研究の末、一枚のタオルで二個の前張りを作ることに成功した。タオル地は俳優さんの大切なトコロを守ためにいいとのことである。T君はタオルを三角形に折り、さらに野球のホームベース状にしてガムテープで形をととのえるんだと説明してくれた。
T君の力作の前張りでA君は全裸のシャワーシーンを撮影し、実にきれいな映像で大成功だったが、事件はその直後に起こった。前張りをはがそうとしたA君は「ギャーッ!」という悲鳴をあげて涙さえ浮かべている。
犯人はガムテープだった。シャワーを浴びても取れないように貼った強力な粘着力のガムテープは、A君の陰毛にバッチリとはりついていたのだ。前張りと共にかなりの陰毛が抜けてしまった。
「痛いなんてもんじゃないっスよ。コレは」
と涙ながらに訴えるA君。「軟膏もってきます」と走る製作者のT君。以後、T君のポケットには「スリ傷、切傷に効く軟膏」が常に入っていた。
C君の場合は寒さの厳しい深夜のロケーションである。風邪をひいたら大変だからC君に、カメラアングルで隠すから大丈夫だと言ったのだが、「いや、ぼくは前張りでやります」と張り切っている。そんなC
君のことを井沢氏に電話したところ、「風邪をひかないように、ホカロンの前張りでやってほしいとC
君に伝えてください。アッハハハハ」。
これはいいアイデアだと前張り担当のT君に伝えたところ、「だめです。ホカロンで大切なところをやけどしたらどうするんですか」と叱られてしまった。幻の前張りホカロンで終わってしまった。
あるときA君が「あの痛さには耐えられないから剃っちゃいました」と。」
それにしても井沢満さん、お会いしたことあるけど、お元気なのだろうか。とにかく画期的なドラマだった。(つづく)
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