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2020年1月18日 (土)

ぼくにも帰りを待ってくれる人が!

ネットなんてものがなかった時代、昭和47年(1972年)の『薔薇族』3号の「薔薇通信」欄(すでに195名が載っている)を読むと、東京に住んでいる読者でも、寂しい思いが伝わってくる。
 
●東京都・中野区・S・A
 
大都会の空の下、ひとりで生きている23歳のぼくです。
 
仕事から帰ってもアパートの小部屋は真っ暗。ぼくにも帰りを待ってくれる人がいたらどんなに素晴らしいかと思います。身長172センチ、体重61キロのぼくですが、兄さん、あるいは父さんと呼べるような人を望みます。できれば少し太った人がいいのですが。
 
 
●東京都・葛飾区・K・K
 
街角を親子連れが楽しそうに語り合いながら歩いているのを見ると、とてもうらやましく感じます。
 
両親の顔すら知らない私に、ひとりぐらい息子がほしいと願うのは、私のわがままでしょうか。お互いに誠意を持って交際してくれる方。一緒に旅行などもしたいと思います。まじめに交際してくれる20代の人の連絡を待っています。
 
 
この人たちいい人とめぐりあえたのだろうか。
 
ぼくはひとりで生活したことがないから、真っ暗な部屋に帰ってくる気持ちって、寂しいだろうな。
 
どんな事情かはわからないけれど、両親の顔すら知らないという人。つらいな。幸せになってほしい。文通欄って大事な役割を果たしていたと思う。あまりにも切実な願いだから。
 
 
●福岡県・H
 
アメリカのロスの6番街のバスターミナルの前で「バカ、バカ、日本みたいなところにどうして帰るんだ。オレ、これからどうすればいいんだ。本当に死んじゃうぞ」と、わめきながら、黒い肌をかきむしり、大粒の涙を流した、私のかわいい助手、トムソン君のことを私はいまだに思い続けています。
 
21歳のすばらしい黒人青年でした。東洋人である私の黒人に対する好奇心ですら、ためらいなく受け入れてくれて、彼のベッドの半分を与えてくれた夜から、私は彼の赤ちゃんになったのです。
 
どなたか私をトムソン君がしてくれたようにこなごなにしてほしいのです。私は40歳、160cm、68kg。肌がきれいだと、トムソン君が言ってくれました。
 
 
どんな仕事をされていた方なのか。黒人青年を助手にしていたというこの人、願いどおりになったのだろうか。
 

 
●滋賀県・大津市・I
 
君の寂しそうな澄み切った瞳が、ぼくの胸を騒がせる。君の赤いくちびると、真夏の香りでいっぱいの浅黒い肌が、ぼくの心をはやらせる。清い果実のような君、ひとりでは世間を渡っていけないような君。そんな君がぼくの愛の対象なのだ。
 
初めて大津に住んで、右も左も分からないと満たされない思いがつのっていくだけ。東京に住んでいた頃は、多少しかるべき場所を知っていたので、孤独に悩むことはほとんどなかった。だが今は皇子山で運動して汗を流し、帰ってきてベッドに横になって眠るだけ。
 
むなしいというか、健全というか、性的不満が高まっていくだけなのだ。
 
夜が白むまで快楽の時を過ごしたい。あらゆるテクニックを使って何度も絶頂感をあじわいたい。君の赤いくちびるが浅黒い肌が、そしてたくましく大きい君自身が、ぼくのものと一体になって、限りない愛の世界へと昇華していく。これこそがぼくの求めている愛の姿なのだ。
 
 
地方に住んでいる人は、すぐ会える理想の男と出会うことは難しかったのでは。

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